2024.06.04

  • 経営改善

倒産のアラート!

こんにちは、中小企業診断士の谷です。

 

外部環境が急速に変化する昨今、企業が将来どうなるかは誰にも確実には分かりません。

しかし、多くの倒産する企業にはいくつかパターンがあり、しかも経営状態が悪化する「予兆」があります。

それが「倒産のアラート」です。

 

その予兆は、業種・業態、企業規模などによって様々ですが、今回はその一例をご紹介します。

まず、基本的な考え方として、企業は投資を行うことによって売上高を伸ばし、利益を獲得します。

そして、その利益を原資に、さらなる設備投資を行い、企業を成長させます。

しかし、中小企業の倒産事例を調べると、その多くに「設備投資の失敗」が潜んでいます。

 

設備投資成功パターン

【設備投資が成功した会社】

積極的に設備投資を行うと、固定資産の金額が増加します。

この会社は、設備投資を行うことで、固定資産が増加し、売上も拡大しています。

設備投資が売り上げに貢献しており、かつ、事業が成長している成功会社です。

 

設備投資失敗パターン

【設備投資に失敗した会社】

逆に、設備投資に失敗した会社はどうでしょうか。設備投資を行っているにも関わらず、徐々に売上が減少しています。また、設備投資を行ったことで減価償却費などの経費の増加し、売上減少時には、大幅な赤字計上を余儀なくされます。

それに加え、設備投資には当然お金がかかっているので、その資金を借金で行っていた場合、支払利息による更なる収益の圧迫や、利益不足での元本返済による資金繰りの悪化など、倒産に向けた悪循環が始まります。

つまり、設備投資の後に売上高が増えないのは倒産の兆候があり、注意が必要になります。

 

予兆を素早くとらえるには?

我々が経営顧問等でご支援させていただく際、事業者様の毎月の試算表をモニタリングし、会社の健康状態に異常がないか(アラートがでていないか)チェックします。

上記のような設備投資と売上の関係については、「有形固定資産回転率」と呼ばれる経営指標を見て、我々は分析します。

 

有形固定資産回転率は、下記の式で計算します。

有形固定資産回転率 = 売上高 ÷ 有形固定資産

 

固定資産が一定で、売上拡大している場合は、回転率が増加します。

逆に、設備投資を行い固定資産が増加したにもかかわらず、売上が減少している場合は、大幅に回転率が低下します。

つまり、有形固定資産回転率が低下しはじめている場合、「倒産のアラートがなっているのではないか?」と疑います。

そして、アラートが鳴ると、倒産の悪循環に陥る前に、素早く対応します。(異常を早期発見することで、改善策の選択肢が広がります。)

 

これはあくまで一例ですが、我々は様々なアプローチで企業の健康状態をモニタリングします。

もし会社の健康に不安がある場合は、一度、弊社の健康診断にお越しください。

 

中小企業診断士 谷 七音

2024.05.07

  • 経営改善

固定費の最小化について

フラッグシップ経営の社内です。

以前のコラム「経営を学び、地道な改善を継続しろ」では、
代表の長尾より業績を改善するために経営者が学ぶべき項目をいくつかご紹介しました。

その中で今回は「固定費の最小化」について少し紐解いてみたいと思います。

業績は売上だけでなく、費用の面からも影響を受けます。
業績を改善したい経営者がまず目をつけるべきは売上ではなく、費用であり、
特に固定費に注目することが大切です。

固定費の中でも、
広告宣伝費、交通費、交際費、雑費には事業経営におけるムダが隠れているといわれています。
これらは頭文字のイニシャルを取って3K+Zといわれています。

貴社の決算書に計上されている雑費、その内訳をご存じでしょうか。
ちょっとだけだから、今回だけの費用だから、といった費用の見逃しが
1年度分も積もっていくと大きな金額となり、営業利益を圧迫してしまいます。

経営改善をしたい、利益率を上げたい…と漠然と考えるだけでは難しいですが、
まずはこれらの固定費の内訳を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。

他にも私どもには経営改善のノウハウが多数ございますので、何なりとご相談ください。

 

社内 愛里

2023.12.05

  • 経営改善
  • 資金繰り

見たくない現実を直視しなければ、物事は好転しない

 

こんにちは、中小企業診断士の木戸です。

 

この数ヶ月で資金繰りが厳しい、特に月内で資金がショートするなど、非常に状況が厳しい企業のご相談が増えています。

 

ご相談内容や各企業の状況にもよるのですが、正直打てる手がかなり限定的、場合によってはほぼ無いケースが非常に目立ちます。

 

約1時間、無料相談をさせていただく中で、色々とお話を伺いますが、1つ共通することは手許の資金が減り出した、黒字から赤字に転落した、売上が低下傾向にあるなど、経営がダメになり出したことを経営者が認識しているということです。

 

一方で、いずれ良くなるだろう、コロナが落ち着けば何とかなるだろう、主要顧客からの受注が回復するだろう、銀行から資金調達できるだろう、など根拠もないことにすがり、行動を起こせていないのです。

 

赤字になっている、資金が減っている、取引先からの受注が無くなった、などマイナスな情報は誰もが見たくないものですし、考えなくてもいいのであれば、それに越したことはありません。

 

しかし、現実から目を背けても何も変わらないですし、目を背ければ背けるほど、事態は悪くなるものです。また、対策を打つのは早ければ早いほどいいものです。

 

現実を直視するために第三者の目を入れることは効果的です。例えば、健康診断で健康状態を見る、テストで成績を見るなどです。

 

健康診断の結果が悪ければ、運動や食生活などの生活習慣を直ぐに改める。テストの成績が悪ければ勉強方法、勉強時間を直ぐに見直す。

 

これらと同じように経営状態についても外部専門家の意見を聞き、現状を把握してみてはいかがでしょうか。

 

経営者にとって耳の痛い話も多々あるかもしれませんが、無料相談であればお金をかけずに相談することができます。

 

弊社でも初回無料相談を行っていますが、無料相談だからと言って肝心なことは伝えない、改善の方向性は契約後にお伝えするなどは致しません。

 

年末年始は漫然と資金繰りが不安になるものです。悩んでいる暇があれば、その時間で一度ご相談ください。

 

中小企業診断士 木戸 貴也

2023.11.01

  • 経営改善
  • 経営者の姿勢

経営を学び、地道な改善を継続しろ

皆様、こんにちは。フラッグシップ経営の長尾です。めっきり朝晩は涼しく(肌寒く)なってきましたね。

 

 

一方で日中は25度を超える夏日になるなど服装も難しい季節でもあります。体調を壊しやすい季節なので、皆様もお気を付けください。体調管理も仕事です。

 

 

さて、今回のコラムのタイトルがやや強く、ここからも私の性格を垣間見ることができますね。

 

 

夏過ぎから資金繰りに窮する企業様の相談件数が飛躍的に増加し、「※経営改善計画策定支援事業」を活用しながら1社ずつ寄り添って支援をしているところでございます。

 

※経営改善計画策定支援事業とは・・・

 

 

しかし、経営改善支援の最前線に立つたびに思うのですが、中小企業の経営者は本当に利益を出す気があるのかと怒りたくなります。

 

 

言い訳のすべてが外部環境で、経営者として学ぶべきことも一切学ばずにただ目の前の仕事をこなしています。

 

 

経営の勉強をするか、経営者をやめるかのどちらかの選択をしないと、従業員や取引先が不幸になるとは少し言い過ぎでしょうか。

 

 

ですが、業績を改善したいのであれば下記のことを最低限学ぶべきですし、自社の状況について把握すべきです。

(他にもまだ学ぶべきことは沢山ありますがまずは業績改善という意味で)

 

 

・利益率や利幅

・損益分岐点

・売上アップ4つの方法(顧客数を増やす、平均取引量のアップ、購買頻度のアップ、単価アップ)

・価格設定

・固定費(販売費及び一般管理費)の最小化

・資金繰り、キャッシュサイクルのメカニズム

・レバレッジ(2%の金利で資金調達したなら2%以上の利益を出さなければならない)

・サンクコスト

 

 

各項目についての説明はまたの機会に譲りますが、センスがないのにセンスで経営して負ける経営者が多すぎるので、地道に学ぶ習慣をつけた経営者が勝つということをお伝えしたいです。

 

 

中小企業には厳しい外部環境が続くことは百も承知ですが、だからこそ勉強した企業が勝ちます。

 

 

また、大きな話に食いつくのではなく、地道に勉強しながら実践に落とし込むことが劇的な成果を得ることができる最短ルートだということを肝に銘じましょう。

 

 

1日1%の改善を70日続ければ2倍になります。

(1×1.01×1.01・・・を70回Excelでやってみてください)

 

ほんの小さな穴でも船が沈むことを忘れないでください。

 

「偉そうに」と思われるかもしれませんが、私自身は経営者になってからその姿勢を貫いており、この人になら偉そうに言われても仕方がないという決算内容になっています。

 

わが社の決算書を見たい、わが社と学びたいという経営者や企業様はいつでも歓迎いたします。

 

年末が近づくにつれ、気が緩みがちになりますが、気を引き締めて経営に向き合っていきましょう。

2023.10.11

  • 経営改善
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キャッシュフロー計算書を読み解く

こんにちは、中小企業診断士の杉本です。

今回はキャッシュフロー計算書についてお話します。

 

企業の決算書には、財務三表と呼ばれる特に重要な書類があり、そのうちの1つがキャッシュフロー計算書です。

毎年申告した決算書類の中に綴られているのを見たことがある方も多いかと思います。

【例:キャッシュフロー計算書】
キャッシュフロー計算書

 

キャッシュフロー計算書は、企業の現預金の増減を⓵営業活動、②投資活動、③財務活動の3つの活動に分けて示します。

 

①営業活動によるキャッシュフロー
 営業活動キャッシュフローは、仕入や売上、販売活動、一般管理などの企業の本業の活動による資金の増減を表します。

 

②投資活動によるキャッシュフロー
 投資活動キャッシュフローは、企業の設備投資や有価証券の売買などの、将来の利益のための投資活動による資金の増減を表したものです。設備投資を行えばマイナス、資産を売却すればプラスとなります。

 

③財務活動によるキャッシュフロー
 財務活動キャッシュフローは、金融機関からの借入や返済などの資金の調達・返済に関する資金の増減を表します。借入を行えばプラス、返済を行えばマイナスとなり、最終的にマイナスであれば、調達より返済が多かったことを示しています。

 

キャッシュフロー計算書の仕組みについての説明は省略しますが、着目すべき点をいくつかご紹介します。

 

1:営業活動によるキャッシュフローがプラスであるか
 前述しましたが、営業キャッシュフローは本業での資金の増減です。営業キャッシュフローがマイナスであれば本業で資金が減っていることになります。支払や入金サイトの関係で一時的にマイナスになる場合もあるので、マイナスの理由の説明ができるのであれば単年のマイナスはある程度問題ないかと思われます。しかし、2期3期と続くようでは本業で利益が出ておらず資金も稼げていない状態であるため大変危険であり、この場合は金融機関からの借入で資金を充当していることが多いです。上の例では、令和4年3月期の営業キャッシュフローの赤字を借入で補っています。

 

2:投資活動によるキャッシュフローのマイナス額をどの活動が賄っているか
 資産を購入すると資金が流出するため、基本的には投資キャッシュフローはマイナスとなりますが、その際のマイナスをどの活動が賄っているか注意が必要です。営業活動のプラスの範囲内や過去の利益によるものであれば問題ないですが、財務キャッシュフローのプラス(金融機関からの借入)で賄っている場合は、翌期以降はその借入の返済に耐えうる営業キャッシュフローを生み出さねばなりません。上の例では、令和3年3月期に2,000千円の投資を行ったにもかかわらず、令和4年3月期では営業キャッシュフローがマイナスとなってしまっており、投資による利益を生み出せていない状態です。

 

3:フリーキャッシュフロー(営業+投資活動によるキャッシュフロー)
 上記を踏まえると、フリーキャッシュフロー(営業+投資キャッシュフロー)がプラスであるかが重要となります。フリーキャッシュフローがプラスであれば、少しずつでも借入金を減らして行くことができます。逆にフリーキャッシュフローのマイナスが続けば、借入を増やさなければ資金が底を尽き、いずれは倒産してしまいます。 決算書類のうち損益計算書にばかり目が行きがちですが、キャッシュフロー計算書を読み解くことで自社の資金がどの活動で増減しているのかを把握することができます。直近3期程度のキャッシュフロー計算書を比較し、自社の傾向を掴み、将来の資金難や倒産といった最悪のケースを回避しましょう。

 

中小企業診断士 杉本貴弘