2025.01.20

  • 経営改善
  • 経営者の姿勢

言い訳して逃げたい、自分を守りたい気持ちとの葛藤

こんにちは。ビジネスアナリストの社内です。

 

先日、経営改善を支援させていただいている事業者様の元に伺いました。

こちらの事業者様は主な事業から全く無関連な分野へと事業を多角化した結果、資金繰りが苦しくなってしまいました。

「なぜこのような事態になったのか」とご一緒に要因分析を進めていたところ、

事業者様は

「〇〇さんの収益管理がずさんだった。」、

「物価高騰、賃上げが苦しい。」、

「銀行員が融資してくれると言っていたのに手のひらを返された。」、

「補助金に採択される算段で△△事業を始めたら、不採択になって全額自社負担になってしまった。」

というようにお話しされていました。

 

しかし、本当はこうではないでしょうか。

「〇〇さんが収益管理をできるように教育できていなかった自分のせい。」、

「物価高騰、賃上げに対し、値上げ交渉や売上拡大を図ってこなかったせい。」、

「銀行員の話や補助金等確証のないものを頼りに、本業の業績を改善することから目を背けていたせい。」など、

すべては自分の失敗であったとご本人もきっと分かっておられると思います。

 

今こんなにも困窮してしまっている現実を他の人や外部環境のせいにしなければ、精神状態を保てないかもしれません。

しかし、現実を見なければ時間だけが過ぎて事態は悪化していきます。

 

1つ前のコラムでも「自責思考」が話題になっていますが、

私は今回、自分の失敗を認めることには、大きな勇気が必要であるけれども会社を立て直すために必要不可欠なことだと学びました。

これまでの自分の失敗を認めることができて初めて、学びを得て、これからの経営に活かすことができると思います。

 

ビジネスアナリスト 社内 愛里

2025.01.14

  • 事業再生
  • 経営改善
  • 経営者の姿勢

ポストが赤いのも全て社長の責任

こんにちは。中小企業診断士の谷です。

 

何か思うようにいかないとき、つい「環境のせい」「他人のせい」にしてしまうことはありませんか?

 

私の周りにも、学生時代、資格受験時代、社会人になってからでも、言い訳、周りの愚痴ばかり言って、
結局、本人の望んでいる状態になれず苦しんでいる人は多いと思います。

 

たしかに、うまくいかないとき、「他責」にしたくなる気持ちはものすごく分かります。しかし、それを嘆いているだけでは、状況は決して改善しません。他人や、環境を変えることはできないからです。自分が変えることができのは「自分だけ」だと思います。

常に「自責思考」でいるのは難しくても、やはり、うまくいかないときは、一度立ち止まって、
「他責思考→自責思考」に切り替える時間を取る必要があると思います。

 

会社経営でも同じように、外部環境や従業員の問題が影響し、経営状態が悪化することはあります。
そんな経営がうまくいかないときこそ「自責思考」に切り替える時間が必要です。

 

一倉定氏が示す「経営者の責任感」

伝説の経営コンサルタントと称される一倉定氏は、「ポストが赤いのも全て社長の責任」と語りました。この言葉は一見極端に聞こえますが、経営者があらゆる出来事を「自分ごと」として捉える姿勢の重要性を教えてくれます。

この考え方は、経営者としての成長だけでなく、経営改善を成功に導くための大切な姿勢です。

 

思考を変えて、行動を変える

中小企業の経営者として、従業員のモチベーション低下、営業成績の停滞、取引先との関係悪化など、多くの課題に直面することがあるでしょう。しかし、それらを「従業員のせい」「環境のせい」と片付けてしまうだけでは、状況は変わりません。

例えば、「営業成績が上がらない」と嘆くのではなく、「営業体制や指導方法に問題がなかったか?」と、起きている状況を「自責思考」で捉えなおし、考え直すことが大切です。このように考えることで、具体的な改善策を見いだすことが可能になるからです。

 

経営改善における「自責思考」

経営改善では、苦境の原因を「窮境要因」として分析します。この要因は以下の2つに分類されます:

  • 内部要因(会社内部の問題)
  • 外部要因(市場の変化や景気など会社外部の環境)

多くの場合、外部要因に対しては「どうしようもない」と諦めがちです。しかし、自責思考を持つ経営者は、「市場の変化への対応が遅れた」「景気動向を見越した計画が不十分だった」と捉え直します。このように、外部要因さえも自らの責任として考え直すことで、主体的に解決策を見出す力が生まれます。

 

経営改善の第一歩

自責思考を持つことは、決して簡単ではありません。しかし、問題を他人や環境のせいにせず、自ら行動の主体となる姿勢は、経営者としての成長を加速させる重要な鍵です。

中小企業の経営者の皆様へお伝えしたいのは、「すべてを自分の責任として捉えることで、初めて経営改善への第一歩が踏み出せる」ということです。

経営が悪化した今こそ、「自責思考」に切り替え、自らの行動を変えることで、復活の糸口が見えてくると思います。

 

中小企業診断士 谷 七音

2025.01.06

  • ご案内

新年のご挨拶

拝啓

新春の候、皆様におかれましてはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。

旧年中は格別のお引き立てを賜り、心より御礼申し上げます。

 

本年は巳(へび)年でございます。蛇は成長する度に脱皮を繰り返し、新たな姿で進化する生き物です。いわば再生や復活の象徴で、神の使いとも言われております。

当社も巳(へび)年の意味になぞらえ、これまでの歩みを土台に、新たな挑戦と変化を恐れず、さらなる飛躍を目指してまいります。

中小企業を取り巻く環境は不透明かつ複雑になってきており、絶えず変化しております。私たちもそのような環境に対して柔軟さとしなやかな強さを持ち、社員一同、一層の努力を重ねてまいる所存です。

 

最後になりましたが、皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

 

敬具

 

令和七年一月吉日

株式会社フラッグシップ経営

代表取締役 長尾 康行

2024.12.13

  • 経営改善
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小さな成功体験の積み重ね

こんにちは、ビジネスアナリストの社内です。

 

最近「一倉定の社長学(作間信司、2019)」を読みました。

本著作の内容のうち、「シンデレラの発見」という言葉が心に残ったので、ご紹介します。

 

シンデレラの発見とは、お客様のニーズはどこにあるのか、「お客様がお金を払ってくれている事実」を先入観なしに見て

ヒントを得ること、そしてヒントから行動に移していくと、新たな発見があるということです。

 

私がご支援に携わっている食品卸売業の事業者様は、全国各地の料亭に高級食材を販売しておられます。

しかし、長年の間、売上が低迷しており悩んでおられました。

その際、弊社代表の長尾が事業者様に申し上げたことは、

ただ漠然と悩むのではなく、市場を見ることと、行動を起こすことでした。

 

市場にはよりよい食材を使って付加価値を高めたい料亭がたくさんいます。

そこで、全国の料亭へDMを送ってみたところ、喜ばしいことに各地から問い合わせや発注がありました。

長年売上が下がるばかりで悩んでいた事業者様も、

自分の商品の市場価値が高いことを再発見でき、自信と元気を取り戻された様子でした。

さらなる販路の拡大に前向きに取り組むことができそうです。

 

売上額としてはほんの少額で、目標の1%にも及ばないかもしれません。しかし、そのほんの少しがすべての始まりだと思います。

 

本作には、成功の決め手の一つは「足元に未来に繋がる芽がないか」、

「小規模であってもお客様が支持してくれる芽がないかを丹念に探してみること」であると書かれています。

 

もし今、業績に悩んでいらっしゃるなら、無駄だと決めつけずに、小さなことから試してみるのはいかがでしょうか。

 

社内 愛里

2024.12.06

  • 経営改善

従業員の危機意識の低さに悩む経営者

 

こんにちは。中小企業診断士の谷です。

経営改善の現場で経営者の方々とお話をしていると、「従業員に危機意識がない」とのご相談をいただくことがあります。
この状況は、多くの中小企業が抱える共通の悩みであり、解消が難しい課題でもあります。

この課題の本質は、多くの場合「視座の違い」にあると感じます。
経営者の視点と従業員の視点が大きく異なっているため、同じ状況を見ていてもその受け止め方が全く違うのです。
さらに細かく見ると、管理職と一般職、正社員とパート社員など、それぞれの立場によって視座は異なります。

それを表現したのが下の図です。

経営者は上空10,000メートルの高さからジェット機のスピードで物事を考え、会社全体の進むべき方向を見極めています。
一方、現場の従業員は地上を徒歩で歩きながら、目の前の業務に集中しています。
この違いは、あたかも同じ地図を見ているようで実際には違う景色を見ているようなものです。

 

経営者からすると、遠く先に巨大な積乱雲が迫っているのが見えているため、危機感を抱くのは当然です。
しかし、従業員にはその雲は見えず、目の前の道が晴れているようにしか感じられません。
この「見ている景色の違い」が、経営者にとってはストレスの原因となります。

 

危機感を共有するために経営者が「危機意識を持て」「変化しなければいけない」と繰り返しても、従業員の心にはなかなか響かないことが多いです。
かといって、悪化している経営状況や赤字決算書を詳細に公開してしまうと、逆に従業員の不安を煽り、離職リスクが高まる可能性があります。
また、交際費や役員報酬といった情報が明らかになることで従業員の反発を招くリスクも考えられます。

 

この問題を解消するには、「視座を合わせる」ための工夫が必要です。
具体的には、以下のようなアプローチが考えられます。

 

  • 優秀な従業員に役職を付け、視座を引き上げる
    リーダーや管理職としての役割を与えることで、従業員の視座を高め、経営者に近い目線で考えられるようにする方法です。

 

  • 経営者が従業員の目線に合わせて動機づける
    現場の目線に立ち、一緒に課題を共有しながら進めることで、従業員が危機感を自分事として感じられるようにします。

 

  • 認識を合わせるための「地図」を作る
    経営方針書、事業計画、行動計画(アクションプラン)といった「地図」を作成し、全員が同じ方向を目指すための共通認識を形成します。

 

特に3つ目の「地図」の作成は非常に効果的です。
重要なのは、経営者が一人で作り上げるのではなく、現場の意見を収集しながら、一緒に作成することです。
計画の作成プロセスを共有することで、従業員もその地図に対して主体的に取り組むようになります。
地図作りの際には、いくつかのポイントがあります。

たとえば、事業計画書では人件費を1行でまとめる、粗利益までの簡素な計画にするなど、細かすぎずわかりやすい内容にすることが大切です。
行動計画では、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)の視点やSMARTの法則(具体的・測定可能・達成可能・関連性がある・期限がある)の基準で計画を立てると、実行可能性が高まります。

 

詳細な計画書の作成方法については、別の記事でご紹介します。

 

同じような悩みをお持ちの経営者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

中小企業診断士 谷 七音