2025.01.14

  • 事業再生
  • 経営改善
  • 経営者の姿勢

ポストが赤いのも全て社長の責任

こんにちは。中小企業診断士の谷です。

 

何か思うようにいかないとき、つい「環境のせい」「他人のせい」にしてしまうことはありませんか?

 

私の周りにも、学生時代、資格受験時代、社会人にんってからでも、言い訳、周りの愚痴ばかり言って、
結局、本人の望んでいる状態になれず苦しんでいる人は多いと思います。

 

たしかに、うまくいかないとき、「他責」にしたくなる気持ちはものすごく分かります。しかし、それを嘆いているだけでは、状況は決して改善しません。他人や、環境を変えることはできないからです。自分が変えることができのは「自分だけ」だと思います。

常に「自責思考」でいるのは難しくても、やはり、うまくいかないときは、一度立ち止まって、
「他責思考→自責思考」に切り替える時間を取る必要があると思います。

 

会社経営でも同じように、外部環境や従業員の問題が影響し、経営状態が悪化することはあります。
そんな経営がうまくいかないときこそ「自責思考」に切り替える時間が必要です。

 

一倉定氏が示す「経営者の責任感」

伝説の経営コンサルタントと称される一倉定氏は、「ポストが赤いのも全て社長の責任」と語りました。この言葉は一見極端に聞こえますが、経営者があらゆる出来事を「自分ごと」として捉える姿勢の重要性を教えてくれます。

この考え方は、経営者としての成長だけでなく、経営改善を成功に導くための大切な姿勢です。

 

思考を変えて、行動を変える

中小企業の経営者として、従業員のモチベーション低下、営業成績の停滞、取引先との関係悪化など、多くの課題に直面することがあるでしょう。しかし、それらを「従業員のせい」「環境のせい」と片付けてしまうだけでは、状況は変わりません。

例えば、「営業成績が上がらない」と嘆くのではなく、「営業体制や指導方法に問題がなかったか?」と、起きている状況を「自責思考」で捉えなおし、考え直すことが大切です。このように考えることで、具体的な改善策を見いだすことが可能になるからです。

 

経営改善における「自責思考」

経営改善では、苦境の原因を「窮境要因」として分析します。この要因は以下の2つに分類されます:

  • 内部要因(会社内部の問題)
  • 外部要因(市場の変化や景気など会社外部の環境)

多くの場合、外部要因に対しては「どうしようもない」と諦めがちです。しかし、自責思考を持つ経営者は、「市場の変化への対応が遅れた」「景気動向を見越した計画が不十分だった」と捉え直します。このように、外部要因さえも自らの責任として考え直すことで、主体的に解決策を見出す力が生まれます。

 

経営改善の第一歩

自責思考を持つことは、決して簡単ではありません。しかし、問題を他人や環境のせいにせず、自ら行動の主体となる姿勢は、経営者としての成長を加速させる重要な鍵です。

中小企業の経営者の皆様へお伝えしたいのは、「すべてを自分の責任として捉えることで、初めて経営改善への第一歩が踏み出せる」ということです。

経営が悪化した今こそ、「自責思考」に切り替え、自らの行動を変えることで、復活の糸口が見えてくると思います。

 

中小企業診断士 谷 七音

2024.12.13

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  • 経営者の姿勢

小さな成功体験の積み重ね

こんにちは、ビジネスアナリストの社内です。

 

最近「一倉定の社長学(作間信司、2019)」を読みました。

本著作の内容のうち、「シンデレラの発見」という言葉が心に残ったので、ご紹介します。

 

シンデレラの発見とは、お客様のニーズはどこにあるのか、「お客様がお金を払ってくれている事実」を先入観なしに見て

ヒントを得ること、そしてヒントから行動に移していくと、新たな発見があるということです。

 

私がご支援に携わっている食品卸売業の事業者様は、全国各地の料亭に高級食材を販売しておられます。

しかし、長年の間、売上が低迷しており悩んでおられました。

その際、弊社代表の長尾が事業者様に申し上げたことは、

ただ漠然と悩むのではなく、市場を見ることと、行動を起こすことでした。

 

市場にはよりよい食材を使って付加価値を高めたい料亭がたくさんいます。

そこで、全国の料亭へDMを送ってみたところ、喜ばしいことに各地から問い合わせや発注がありました。

長年売上が下がるばかりで悩んでいた事業者様も、

自分の商品の市場価値が高いことを再発見でき、自信と元気を取り戻された様子でした。

さらなる販路の拡大に前向きに取り組むことができそうです。

 

売上額としてはほんの少額で、目標の1%にも及ばないかもしれません。しかし、そのほんの少しがすべての始まりだと思います。

 

本作には、成功の決め手の一つは「足元に未来に繋がる芽がないか」、

「小規模であってもお客様が支持してくれる芽がないかを丹念に探してみること」であると書かれています。

 

もし今、業績に悩んでいらっしゃるなら、無駄だと決めつけずに、小さなことから試してみるのはいかがでしょうか。

 

社内 愛里

2024.12.06

  • 経営改善

従業員の危機意識の低さに悩む経営者

 

こんにちは。中小企業診断士の谷です。

経営改善の現場で経営者の方々とお話をしていると、「従業員に危機意識がない」とのご相談をいただくことがあります。
この状況は、多くの中小企業が抱える共通の悩みであり、解消が難しい課題でもあります。

この課題の本質は、多くの場合「視座の違い」にあると感じます。
経営者の視点と従業員の視点が大きく異なっているため、同じ状況を見ていてもその受け止め方が全く違うのです。
さらに細かく見ると、管理職と一般職、正社員とパート社員など、それぞれの立場によって視座は異なります。

それを表現したのが下の図です。

経営者は上空10,000メートルの高さからジェット機のスピードで物事を考え、会社全体の進むべき方向を見極めています。
一方、現場の従業員は地上を徒歩で歩きながら、目の前の業務に集中しています。
この違いは、あたかも同じ地図を見ているようで実際には違う景色を見ているようなものです。

 

経営者からすると、遠く先に巨大な積乱雲が迫っているのが見えているため、危機感を抱くのは当然です。
しかし、従業員にはその雲は見えず、目の前の道が晴れているようにしか感じられません。
この「見ている景色の違い」が、経営者にとってはストレスの原因となります。

 

危機感を共有するために経営者が「危機意識を持て」「変化しなければいけない」と繰り返しても、従業員の心にはなかなか響かないことが多いです。
かといって、悪化している経営状況や赤字決算書を詳細に公開してしまうと、逆に従業員の不安を煽り、離職リスクが高まる可能性があります。
また、交際費や役員報酬といった情報が明らかになることで従業員の反発を招くリスクも考えられます。

 

この問題を解消するには、「視座を合わせる」ための工夫が必要です。
具体的には、以下のようなアプローチが考えられます。

 

  • 優秀な従業員に役職を付け、視座を引き上げる
    リーダーや管理職としての役割を与えることで、従業員の視座を高め、経営者に近い目線で考えられるようにする方法です。

 

  • 経営者が従業員の目線に合わせて動機づける
    現場の目線に立ち、一緒に課題を共有しながら進めることで、従業員が危機感を自分事として感じられるようにします。

 

  • 認識を合わせるための「地図」を作る
    経営方針書、事業計画、行動計画(アクションプラン)といった「地図」を作成し、全員が同じ方向を目指すための共通認識を形成します。

 

特に3つ目の「地図」の作成は非常に効果的です。
重要なのは、経営者が一人で作り上げるのではなく、現場の意見を収集しながら、一緒に作成することです。
計画の作成プロセスを共有することで、従業員もその地図に対して主体的に取り組むようになります。
地図作りの際には、いくつかのポイントがあります。

たとえば、事業計画書では人件費を1行でまとめる、粗利益までの簡素な計画にするなど、細かすぎずわかりやすい内容にすることが大切です。
行動計画では、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)の視点やSMARTの法則(具体的・測定可能・達成可能・関連性がある・期限がある)の基準で計画を立てると、実行可能性が高まります。

 

詳細な計画書の作成方法については、別の記事でご紹介します。

 

同じような悩みをお持ちの経営者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

中小企業診断士 谷 七音

2024.11.30

  • 経営改善
  • 経営者の姿勢
  • 資金調達

赤字会社の共通項

皆さん、こんにちは。フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。

 

11月は出張も多く、非常に多忙でした。

 

大阪を拠点にしながら仙台、京都、岡山、山口、和歌山、福井、三重、東京と主に経営改善支援で各地を行脚してきました。

 

案件の多くはすでにリスケジュール(元本返済の減額または猶予)をしている、もしくはまもなくリスケジュールを行う支援先様で、財務状態が相当程度に毀損されています。

 

業種も規模も様々ですが、財務状態が著しく毀損されている会社の特徴は驚くほど似通っています。

 

私が経営改善の最前線で見てきた経営改善が必要な会社の共通項をいくつかご紹介しましょう。

 

 

1.過剰債務

慢性的な赤字に対して収益性の改善に取り組まず、金融機関から借りることで何とか資金を繋いできたパターンです。特にコロナ融資は満額借りた会社ほど、負債額だけが大幅に増加しています。融資が難しくなると次はリースバックやファクタリングなど限界まで資金調達に奔走し、どうにもこうにも行かなくなってから事の重大性に気づきます。

 

 

2.判断の遅さ

例えば新規開拓営業、値上げ交渉、経費の削減など、すぐに着手しなければならない事案であってもとにかく行動が遅いパターンです。様子を見る、今期はこのままで、業界の慣習だから・・・などの言い訳ばかりで行動に移すまでに数ヶ月もしくは数年を要するケースもあります。

 

 

3.行動量の少なさ

何か新しい取り組みを行う時、赤字体質の会社は1度行動を起こして結果が出なければすぐにやめてしまいます。例えばSNSやHPの更新などです。ビジネスの世界ではすぐに結果が出ないことが多く、継続性が要求されます。経費の削減など即効性のある取り組みも重要ですが、同時に中長期的な飯の種を蒔かなければなりません。しかし、赤字体質の会社には継続性が全くなく、諦めるのが早い傾向にあります。

 

4.外部環境に原因を求める

自社の弱みにフォーカスするのではなく、外部環境に自社の赤字の要因を求めてしまいます。自社の弱みに向き合わず、経営改善から逃げ、時間だけが経過してしまいます。

 

他にもありますが、上記4つの項目は経営状況の悪い会社の多くに共通する特徴です。

 

皆様も一つでも自社に当てはまる場合は、必ず考え方を改めてください。

 

中小企業を取り巻く環境は決して優しいものではありません。

 

経営に対して真摯に取り組む姿勢、結果やプロセスにこだわる姿勢は常に持ち続けましょう。

2024.11.19

  • 経営改善

明文化によって経営者とコンサルの共通認識を作る

こんにちは、中小企業診断士の木戸です。

経営者の中には、コンサル嫌いな方も多い印象を持っています。

過去に何度か支援を受けたことがあるが、経営が改善されなかったり、収益が上がらなかったりなど、
費用に見合った効果が得られなかったことの積み重ねで、コンサルに抵抗感を持たれていたり、
そもそもコンサルという職種そのものを避けられていたりとさまざまな原因が考えられます。

一方で、コンサルタントに依頼し、短期的、長期的な改善を実現している経営者もいます。

例えば、下記のような事例です。

「毎月、月末の支払や銀行への返済など資金繰りで頭がいっぱいだった経営者」が、
資金繰り改善の支援を受けることで、成長に向けた前向きな取り組みにフォーカスできるようになった。

「赤字決算が続いており、大幅な債務超過に陥っていた経営者」が、値上げ交渉や新規取引の開拓など
収益改善の支援を受けることで、債務超過の解消や金融機関への返済を進められるようになった。

経営者がコンサルタントの支援を更に効果的なものにするため、コンサルタントが支援の実効性を更に高めるためには、
当たり前ですが、両者で共通の認識を持つ必要があります。

現状の把握、目標の状態、そのギャップ度合い、解決の方策やコンサルの支援範囲、経営者の取組範囲などを明文化し、
お互いに同じ認識を持ち同じベクトルを持てば、経営改善は思っている以上に前に進むものです。

そして、共通認識は口頭だけでなく、明文化することをおススメします。

文字に起こすことで、ちょっとしたニュアンス感の相違とか会社の違いが見えてくることもありますので、
簡単な整理シートや議事録などにまとめましょう。

また、経営者だけで経営改善を進めるのは難しいです。

必ず他の役員や幹部社員、現場リーダーなどを巻き込んでいく必要があります。

その時にも明文化していれば、認識をそろえやすくなりますので、ぜひやってみてください。

過去、コンサルに依頼してみたけど「あんまりうまく行かなかったな。」などと思わらることがあれば、
その当時、明文化して共通認識を作ってくれるコンサルだったかを一度、思い出してみてください。

中小企業診断士 木戸貴也