2023.04.19

  • 経営改善

経営の原理原則

中小企業診断士の長尾です。
赤字体質や資金繰りに苦しんでいる企業様のご支援を多くさせていただいているのですが、経営には正解がなく、経営者の考え方も異なりますので支援をする側も難しく考えてしまう時があります。
もちろん、経営者の方も足元の業況が悪くなると、起こっている問題を複雑に考えたり、見当違いな対策を講じたりすることもあります。
こうした時は原理原則に立ち戻るということが何より大事です。
言われてみれば、当たり前のことなのですが、目の前の状況が悪化すると基本に立ち返るということがなかなか難しいのです。
しかし、経営の原理原則とはどういうことをいうのでしょうか。これもまた正解がないことですが、私は「お客様や取引先様のお困りごとの解決やニーズに応えることで喜んでいただく」ということに尽きるのではと思うのです。
しかし、業績が良い時や資金繰りに余裕がある時は、いただいている仕事に対しての感謝が薄れることが多く、無意識にお客様のことを考えず自社の都合だけを優先して仕事をしてしまうことがあります。
また、すぐに目先の売上や利益に飛びついてしまうこともよくやることです。しかし、厳しく申し上げるなら、赤字になってしまった原因はお客様が離れていってしまったからです。お客様の状況を考えずに、自社都合で動いてきた結果だと受け止めるべきでしょう。
その上で、お客様が何に困り、何を解決して欲しいかをしっかりとヒアリングし、自社でできることを提案することがとても重要で注力しなければならないことです。
売上が欲しい、利益が欲しいのであれば自社の中で問題を探すのではなく、お客様のお困りごとを解決しようとする取り組みをしっかりと行うことが経営の原理原則なのではと思います。そこに、利益を含めた経営の正解が含まれているような気がします。

2023.04.19

  • 事業再生

中小企業の再生支援が加速する見込み

中小企業診断士の長尾です。この夏から新型コロナの緊急融資である、いわゆるゼロゼロ融資の返済が本格化し、多くの中小企業の資金繰りが圧迫されると予想されています。
最近のデータではゼロゼロ融資残高は56兆円となっていますが、長らく事業再生の現場に身を置いてきた者からすると、この莫大な債務の返済が予定通り行われると考えることは難しいと言わざるを得ません。
政府は新制度の借り換えや日本政策金融公庫の低利商品や資本性劣後ローンの活用などを促しているものの、金融機関もリスクのある融資は控える傾向にありますので、多くの中小企業は資金繰りの悪化に耐えきれず・・・といったケースが急激に増加すると予想しています。リーマンショックの際にも多くの経営改善支援を行ってきましたが、企業側はとにかく資金繰りを最優先にした意思決定をすることです。

具体的には借り換えや新規融資が断られた場合は、すぐに元本返済猶予の依頼を行い、リスケすることです。リスケに対して懐疑的な見方をする方もいますが、会社の利益から元本返済ができる企業などほとんど存在していませんので、借り換えや調達による金融支援が受けられないとなった際にはリスケによって資金流出のスピードを遅らせる必要があるのです。

また、これを機に経営者や経営幹部は自社の状況をしっかりと見直す機械にしていただければと思います。安易にゼロゼロ融資を活用し、資金繰りに余裕ができたことで収益性の改善等に取り組まなかったため、資金が底をついてから慌てて相談に来るというケースも何件もありました。

経営に対して真摯に向き合い、全社をあげて改善に取り組むのか、旧態依然のスタンスを貫き通すのかで、出口は大きく異なります。

経営者の方にはぜひ正しい判断を下すことを切に望みます。