2024.08.22

  • 経営改善

経営改善で最初に取り組むべきこととは?

 

こんにちは。中小企業診断士の谷です。

 

経営改善は、企業が持続的な成長を実現するために欠かせない取り組みです。

しかし、経営改善を始めるといっても、いったいどこから手をつけるべきか悩む経営者の方も多いかと思います。

今回は、経営改善に取り組む際に最初に行うべき重要なステップについてご紹介します。

 

我々、経営コンサルタントは、

経営改善に取り組む際、以下のようなアプローチで物事を考えます。

  1. 現状把握
  2. 問題点の抽出
  3. 課題の設定
  4. 解決策の検討
  5. PDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルの実行

 

このプロセスの中でも、最も重要なのが「現状把握」です

現状を正確に把握しなければ、その後のすべてのステップが効果を発揮せず、望む成果につながらなくなる可能性があります。

 

経営改善における「現状把握」とは?

経営改善における現状把握では、まず「事業調査」を行います。事業調査の目的は、企業の抱える問題点や改善の余地がある箇所を明確にし、経営の全体像を把握することです。これは、経営改善の初めの一歩であり、今後の施策を成功に導くための基盤となります。

事業調査の内容

事業調査では、下記のような内容を調査します。

 ・財務状態の分析

    企業の収益性、財務の健全性、事業運営の効率性を評価し、経営の健全度を分析します。

 ・内部環境の評価

    企業の強みや弱み、業務プロセス上の問題点を洗い出し、内部リソースが最適であるかを評価します。

 ・外部環境の調査

    市場の動向や競合他社の動き、取引先との関係性を調査し、外部からの影響を調査します。

事業調査のメリット

事業調査を行うことで、以下のようなメリットを得られます。

 ・問題の根本原因を特定できる

   表面的な課題ではなく、根本的な原因を見つけ出し、効果的な解決策を講じることが可能になります。

 ・実現可能性の高い計画を立てやすくなる

   現実に即した具体的な計画を策定し、無理のない再生プロセスを進められます。

 ・ステークホルダーの信頼を得ることができる

   銀行や投資家、取引先などのステークホルダーに対して、事業調査で得られた正確なデータと分析結果を共有することで、改善計画への信頼性を高め、協力を引き出しやすくなります。

 

自社の事業調査を行う方法

自社の事業調査を行う方法には、自社で行う方法と、外部の専門家に依頼する方法があります。

もちろん、経営者が自ら現状を把握することは非常に重要です。しかし、経営者は通常、日々の業務に追われており、全体を網羅しながら精度の高い事業調査を行うのは現実的ではありません。

特に、金融支援(追加融資・リスケ)を必要とする経営改善に取り組む場合自社のみで行うよりも、外部の専門家を活用した客観的で信頼性の高い調査結果を報告する方が効果的です。外部の視点を取り入れることで、経営改善の計画に対する信頼性が向上し、必要な支援を得やすくなるでしょう。

 

まとめ

経営改善を成功させるためには、現状を正確に把握し、適切な対策を講じることが不可欠です。しかし、そのプロセスを一人で進めるのは容易ではありません。

そこで、当社では、経営者の皆様が抱える課題をサポートするため無料経営相談を実施しております。

無料相談では、経験豊富な専門家が現状を丁寧にヒアリングし、初期段階のアドバイスを提供いたします。

中小企業診断士 谷 七音

2024.07.31

  • リスケジュール
  • 経営改善
  • 経営者の姿勢

改善計画が未達の場合どうなるか

こんにちは、中小企業診断士の杉本です。

 

バンクミーティングを経て合意を得た経営改善計画については、認定支援機関が引き続きモニタリングを行い、計画の進捗確認や遂行を促します。

 

もし、モニタリングの結果、計画を達成が見込めない場合どうなるかという点を気にされる企業様も多いかと思います。

 

策定した実抜計画・合実計画の改善計画の達成が見込めない場合は、実質債務超過額の解消や債務償還年数についても当初計画の期間内の達成が困難になると考えられます。

全て個別対応となりますが、支援機関は取引金融機関と情報共有を行い、対応策を検討することとなります。

 

計画と実績の乖離が軽微であり、再度リスケジュールの支援により計画への復帰が可能と見込まれる場合は、取引金融機関の同意を得て再リスケジュールを検討します。

一方で、リスケジュールの支援では計画への復帰が見込めない場合については、計画の見直しを行い、再策定の検討となります。

ただし、実抜計画・合実計画の要件を満たす計画が困難となった場合は、抜本的な取り組みを用いた計画の策定が必要となります。

 

改善計画が暫定計画であった場合は、支援機関のアドバイスを受け、施策項目について1つ1つ個別に改善に取り組みます。

それでも計画と実績の乖離が大きい場合は、抜本的に事業再生が必要となると考えられます。

暫定リスケの場合、事業再生に取り組む準備期間として3年程度の猶予期間を与えられていることから、計画が達成できない場合は事業の継続可能性について疑義が生じていることとなります。

この場合、フリーキャッシュフローがプラスであれば返済原資を生み出していると考えられることから、まだ再リスケジュール等の検討の余地はあります。

しかし、フリーキャッシュフローがマイナスの場合は、事業継続が困難であると考えられ、金融機関からは事業を続けていても回収が見込めないと判断されることとなり、廃業の選択肢も浮かび上がってきます。

 

改善計画の未達の場合、金融機関からは非常に厳しい評価をされると言って良いでしょう。

金融機関からの評価のために事業を行う訳ではないですが、経営改善には本気で、全力で取り組まなければ、手遅れになってしまいます。

 

中小企業診断士 杉本貴弘

2024.07.31

  • 経営改善

先代経営者の経営結果を数値で客観的に知りたい

こんにちは、中小企業診断士の木戸です。

 

中小企業の経営者にとって、最も熱量が高い瞬間の1つは、会社を創業・設立した時なのではないかと思います。

 

一方で、開業率は長期トレンドで低下しており、新しい企業の経営者になる方よりも事業承継で既存企業の経営者になる方が圧倒的に多いのが現状です。

 

この事業承継時での後継者の思いは、創業者が創業した時とは異なるものかもしれませんが、代表者が変わるタイミングも経営者の熱量が特に高い瞬間に1つです。

 

創業時とは違い、事業承継後の新経営者には比較対象となる会社の実績があります。

 

先代や先々代の実績であり、端的には当時の決算書と比較すると計数面での良し悪しが判断できます(もちろん、各決算期の時代背景の影響もあり、単純に経営者の手腕だけのものでもありませんが)。

 

事業承継の際、新経営者となる後継者の実子や従業員の方などからは、『先代の経営が良かったのかどうかを数値で知りたい』との要望されることがあります。

 

ものづくりの技術や取引先との交渉力、新商品の開発力など定性的なことは、一緒に仕事をしている中で理解をされているのですが、経営の結果がどうなのかを気にされているようです。

 

特に代表的な経営者の成績表は、貸借対照表であり、経営者のクセ、正確、姿勢などが色々な項目に表れます。

 

ただ、みなさん共通するのは、先代を責めたいとか悪いところを知りたいとか、マイナスな動機ではなく、「どこが良くて、何が足りていないのか」を知り、自分の代で何をしていくべきなのかの1つの判断材料にするというプラスの動機です。

 

現在の経営状態を客観的に知る方法として、経営診断を受けるという選択肢があります。

 

経営診断は、公的機関(保証協会とか商工会議所など)で無料、低価格で受けられることもありますし、弊社の様な民間コンサルティング会社へ依頼する方法もあります。

 

事業承継の準備段階や事業承継後に経営改善に取り組むことは良くあります。

 

後継者に渡す前に良くしたい、今までよりもっと良くしたいなど思いは様々です。

まずは、現状値を客観的に知ってみることも検討してみてはいかがでしょうか。

 

中小企業診断士 木戸貴也

2024.07.22

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  • 資金繰り

金融機関に依頼すべきは追加融資?借換?それともリスケ?

こんにちは、中小企業診断士の谷です。

 

最大5年の据置期間が用意された新型コロナの緊急融資の元本返済の開始が本格化している今、その元本返済に耐えられず、資金繰りが圧迫している企業が徐々に増えております。

 

弊社にも、他の理由を含め、「最近資金繰りに困っている」、「今月の資金繰りが厳しい」、「来月資金ショートしそう」など、非常に状況が厳しい企業のご相談が寄せられます。

 

今回は、据置期間の終了への対策として「借り換え」「新規融資」「リスケ」など複数の金融支援についてご説明します。

 

具体例として以下のようなケースの企業を考えます。

・借入A(借入残高1,000万、毎年の元本返済200万、返済期間5年、※据置期間終了)

・借入B(借入残高1,000万、毎年の元本返済200万、返済期間5年、※据置期間終了)

通常に返済が開始すると、5年で借入による手持ち資金がなくなります。

 

【①借り換え】

既存の借入A,Bを、新たな借入Cに集約するパターンです。返済期間を10年に延ばしたことで、毎月の返済額を抑え、手持ちの現金の流出を抑制します。

 

【②増額借り換え】

先ほどの単純な借り換えと同時に、増額融資を受けたパターンです。

 

では、「①同額借り換え」「②増額借り換え」どちらを選ぶべきでしょうか?

 

1つの判断軸として、手持ち資金(借入残高)の減り具合に着目します。

「②増額借り換え」の方が、残高の減り具合が鈍いため、手持ちの資金量が多く、資金繰り対策としては有利であるといえます。

 

【③追加融資】

借入A、Bは、予定通り、そのまま元本返済を行いながら、新規融資を受けたパターンです。毎年のキャッシュアウトは大きくなりますが、手持ち現金が増えるため、資金繰りが改善しているといえます。

 

では、「②増額借り換え」と「③追加融資」では、どちらを選ぶべきでしょうか?

 

こちらも同様に、手持ち資金の減り具合に着目すると、「②増額借り換え」の方が、手持ちの資金量が多く、資金繰り対策としては有利です。

 

(※借入額が増加すると支払利息も増加するため、上記の順序が必ずしも最適とは限りません。)

 

【④リスケジュール】

最後に、元本返済猶予によって、5年後から返済を開始するパターンです。

 

注意が必要なのはリスケです。

 

上記の理屈でいくと、手持ち現金を多く持てるリスケも有利に見えますが、リスケをすると新規融資を受けることが極めて難しくなります。(ほとんど不可です。)

目先の元本返済を止められるからといって安易にリスケに走るのは得策ではありません。

 

したがって、まずは銀行には融資を相談し、それが難しい場合にリスケを依頼するのが基本戦略になります。

 

ただし、元本返済により手元の現金が流出し、事業継続を余儀なくされている緊急事態の場合や、追加融資が受けられない場合は、早急にリスケ対応が必要なケースもあります。(※リスケをする際は、取引している全金融機関に対し、経営改善計画書を作成・提出し、全員の合意が必要となります。)

 

 

今回はとても簡単な事例でご紹介しましたが、実際は複数の金融機関と取引があり、借入の口数、残高、協会保証の有無、担保の有無などの既存の借入状況、資金繰り状況、金融機関との関係など様々な要素を考慮し、最適な銀行交渉の方法をご提案いたします。

そして、企業が緊急事態の場合は経営改善計画書を作成し、合意形成までご支援いたします。

 

中小企業診断士 谷 七音

2024.07.19

  • 経営改善

損益分岐点とは

 

ビジネスアナリストの社内です。

 

今回も「経営を学び、地道な改善を継続しろ」から一つ選んでお話しする回です。

もう少し続きますが、お付き合いください。

 

今回は「損益分岐点」についてです。

 

損益分岐点とは、事業を営む上で一つ大きな指標となる値と言えます。

 

どのくらい売上を獲得できれば、黒字になるのか、売上と費用がちょうど一致する額が損益分岐点です。

売上を上げて利益を少しずつ積み重ね、利益によって固定費をすっぽりカバーできるようになる点です。

 

つまりどういうことなのか、パン屋さんで例えてみましょう。

 

固定費とは以前のコラムでもお話ししましたが、

レジの従業員様のお給料や家賃など売上が一円も発生しなくても発生する費用です。

 

一方で、変動費は売上に比例して発生する費用です。

売上が2倍になれば、変動費も2倍かかります。

パンを2個売るには小麦も卵も2倍必要ですが、レジのお姉さんは2人はいりませんね。

 

企業は売上から利益を少しずつ積み重ねて、変動費だけでなく固定費も賄えるように売上計画を立て、達成を目指さなければなりません。

 

そこから、株主に還元したりする企業もありますから、利益とはまさに乾いた雑巾を絞ることだと感じます。

 

社内愛里