2024.09.30

  • 経営改善

分けることは分かると言うこと

こんにちは、中小企業診断士の木戸です。

経営改善の手順で、『①固定費の削減➡②利益率の向上➡③売上高の増加』の流れは過去のコラムで何度か触れており、
業種や事業規模を問わずに原則、この手順で取り組むべきです。

しかし、「固定費の削減って何から着手すれば良いのか」、「売上を増やすといってもどう考えればいいのか」と
具体的なアクションに繋げるためには、もう一段階の掘り下げが必要です。

例えば、固定費の削減の内、“通信費の削減”であれば、「通信費=業務用携帯が5台で○○円、Wi-Fi代が○○円、
セキュリティ関連費用が○○円・・・」のように決算書の勘定科目を自社のコスト内容に置き換えることで、
「営業マンが減って、携帯が余っているので1台解約しよう」、「他社のWi-Fiに切り替えたら、安くなるのでは?」など
次のアクションが見えてきます。

合わせて、それぞれのアクションによる固定費の削減効果を検討し、優先順位を付けて実行していきます。

同じように売上高の増加についても、分解して細かく見てみましょう。

売上を一段階分解すると「売上=客単価×客数」となります。
更に「客単価=購買点数×購買単価」、「客数=既存客数+新規客数-離脱客数」のようにもう一段階分解できます。

ここまで分けることができれば、「購買点数を増やすためのアクション」、「購買単価を上げるためのアクション」、
「既存客がリピートするためのアクション」、「新規客を獲得するためのアクション」となり、少しずつ具体的になってきます。

売上高の増加に関しては更に細分化していくことで、複数の売上増加策を検討できそうです。

これは別の機会にお伝えするとして、今回は割愛しますが、具体的な改善策が考え付かないときには、
何かしらの切り口で細分化して、検討してみましょう。

中小企業診断士 木戸貴也

2024.09.30

  • 経営改善
  • 経営者の姿勢

過去の栄光に拘るな

こんにちは、中小企業診断士の杉本です。

 

 

ある程度事業を長く続けている企業であれば、過去に成功を収めた経験のある経営者の方も多いかと思います。

業績が好調で寝る間も惜しんで働き、他社と比較しても自慢できる様な売上を計上し、経営者としては誇らしく、成果を上げたという自負もあるかと思います。

しかし、その過去の栄光にいつまでもしがみついていると、企業の成長は止まり、環境の変化に取り残されてしまいます。

 

 

経営改善の現場で経営者の方とお話をしていると、過去に見た夢をいつまでも追い続け、時代にそぐわない商品・サービスを提供し続けていることがあります。

夢を追うのは良いですが、時代に合わせて柔軟に対応しなければ消費者からはそっぽを向かれ、成長が止まるどころか経営難に陥ります。

 

 

成功体験が強ければ強いほど、その方法に固執しがちです。

しかし、過去に固執すると新たなアイデアや柔軟性が損なわれてしまいます。

その結果、目まぐるしく変化する環境に対応出来ず、競争に敗れてしまうのです。

 

 

SNSの発達前後ではマーケティング手法も異なります。

飲食業界ではコロナウイルスの流行前後で消費者のニーズも大きく変化しました。

これまで通りのやり方ではいつか必ず限界がやって来ます。

創業100年を超える老舗も、商品は変わらずとも売り方は変える等の柔軟さを持って事業を継続しているのです。

 

 

過去の栄光は参考にすべきものではありますが、拘り過ぎて足かせになってしまっては本末転倒です。

市場の変化や顧客のニーズに柔軟に対応し、過去ではなく未来を見据えて次の1歩を踏み出しましょう。

 

 

中小企業診断士 杉本貴弘

2024.09.24

  • 経営改善

経営改善がうまくいかない事例を見て思うこと

こんにちは。中小企業診断士の谷です。

 

経営改善がうまく進まない事例を見ていると、ただ計画を立てたり、金融機関と交渉したり、コスト削減策を打ち出すだけでは不十分だと感じます。

 

金融機関は、外部専門家を活用して、効率的な改善を進めたいと考えます。

しかし、経営者側は、そのサポートに対する費用負担を嫌がり、改善計画を「金融機関からの要求」として受け取ることが多く、真剣に取り組む意欲が低いことがあります。

 

その結果、計画は単なる形式的な書類として終わってしまいます。

 

このような事例を見ていると、経営改善の取組には、まずは経営者との信頼関係を築き、経営に対する真剣な思いを共有することが必要であると常々感じるようになりました。

 

多くの場合、計画の内容や技術的な改善策に焦点が当たりますが、実際のところ、経営者自身が改善に対する強い意欲を持たなければ、どんなに優れた計画でも実行に移されることはありません。

 

一方で、経営改善の成功事例を見ると、その鍵となったのは、経営者の皆さまが自らの意志で、主体的に改善に取り組む姿勢を持たれたことです。

私たちが提案する改善策は、あくまで皆さまの思いや目標を実現するための手段であり、押し付けられるべきものではありません。どんなに優れた計画でも、経営者の皆さまが納得し、心から「やってみよう」と思えるものでなければ実行に移されることはありません。

 

したがって、私はまず皆さまのお話をじっくりと伺い、どんな思いで事業を続けてきたのか、どんな未来を描いておられるのか、その気持ちを膝を突き合わせ、共有することを大切にしたいと思います。

そして、我々がどのようにお手伝いできるのかを一緒に考えていきたいです。

 

経営改善は、決して一朝一夕で成し遂げられるものではありません。

日々の業務の中で直面する数々の課題を乗り越えながら、少しずつ前進していくものです。

経営者の皆さまの情熱や覚悟を引き出し、それを実現するためのサポートをさせて頂ければと思います。

どんな些細なことでも構いません。まずは、皆さまの思いをお聞かせください。

そこから、経営改善の第一歩が始められれば思います。

中小企業診断士 谷 七音

 

2024.09.12

  • 経営改善

収益改善に取り組む第一歩「相乗積」とは?

こんにちは、ビジネスアナリストの社内です。

もう何カ月も営業赤字が続いている…そのような状況の時、まず事業者が取り組むべきことは「現状把握」です。

今回は現状把握のツールの一つとして、相乗積をご紹介します。

 

<相乗積>

相乗積とは、事業のカテゴリーや商品群ごとの利益貢献度を表す指標です。

売上の貢献度(売上構成比)と利益の貢献度(利益率)から算出されます。

『相乗積=各カテゴリー・商品群の売上構成比×利益率』

高い相乗積を持つカテゴリーや商品群は、全体の利益に大きく貢献していることを意味します。

 

<スーパーマーケットA店での例>

例えば、スーパーマーケットA店において、精肉、鮮魚、野菜、パンなど各売り場の相乗積を算出してみます。

すると、鮮魚売り場の相乗積が4.42%と最も大きく、一方でパン売り場の相乗積は1.30%と最も低いことが分かりました。

これは、経営が苦しいからとにかく売上を上げようと、社員全員で頑張ってパン売り場の売上を上げていても、全体の利益に与える影響は小さいということです。

一方で、鮮魚品の売上増に伴う全体利益の増加幅は大きいため、同じ労力を割いても、会社全体が受ける影響はより大きなものになります。

鮮魚売り場の面積を広げたり、イベントを開いたりと、店舗が注力すべきカテゴリーが明らかになります。

 

相乗積はスーパーマーケットなど小売業で用いられることが多いです。

しかし、実は製造業や建設業などあらゆる業界にてご活用いただけるツールです。

たとえば、製造業であっても利益率の高い製品、低い製品は必ずあるはずです。

収益性の改善に取り組む前に相乗積を計算して現状を把握、そして、限られた営業リソース、時間を収益性の高い製品に集中させましょう。

 

自社の現状が分かれば、自社内の比較だけでなく、競合他社との比較分析にも役立てることができそうです。

一度試してみてはいかがでしょうか。

 

ビジネスアナリスト 社内 愛里

2024.08.28

  • 事業再生
  • 経営改善
  • 経営者の姿勢

苦渋の決断を先延ばしにした経営者の末路

こんにちは、中小企業診断士の木戸です。

 

経営改善計画を策定し、金融機関からのリスケ等の金融支援を受けてながら、経営改善に取り組んでいても残念ながら再生できずに倒産にいたることがあります。

 

弊社にご相談いただいたタイミングでの経営の毀損状態は様々で、今月末の支払ができず打てる手が限られるケースもあれば、まだリスケ前であり複数の選択肢を持ったうえで改善に取り組めるケースもあります。

 

後者であれば、リスケによって資金繰りを改善し、『固定費削減→利益率改善→売上高増加』のステップに沿って経営改善に取り組むことをベースに考えるべきです。

 

前者の場合でも基本的なステップは同じなのですが、とにかく1、2か月の資金繰りを確保しなければなりません。

 

返済を止める、納税を遅らせる、仕入の支払を待ってもらう、代金回収を早めるなどで対応できることもありますが、この段階で資金がショートしてしまうことが実際のところあります。

 

何とか資金を確保して乗り越えた先で問題が発生します。

 

それは、経営者が今までのやり方、考え方、仕事の進め方、組織体制、営業拠点などを変えることができず、結果として直ぐに資金が枯渇してしまうことです。

 

経営改善が必要になる背景には、経営者の判断ミス、戦略の誤りなど経営者に起因する原因があるものです。

 

赤字になってしまったやり方、考え方を改めない限りは、黒字化し、経営改善を進めることは厳しいです。

 

コンサルタントとしてクライアントが倒産することを回避し、少しでも早く再生してほしいとの思いから、厳しい言い方や言いたくないようなことなども経営者に伝えます。

 

しかし、最終的な意思決定をするのは経営者ですし、伝えるべきことは伝えた上での意思決定なのであればその意見を尊重して経営改善に取り組みます。

 

人に言われたからやっているからでは力は入らないでしょうし、何より自分で決めたことに責任を持って取り組むことに意味があると思います。

 

一方で、倒産に至った経営者から、「あの時、木戸さんが言ったようにしていたら良かった。」との話がありました。

 

この案件については、他の経費削減や収益改善、売上アップに取り組んでも赤字幅が大きすぎるため、他の策を検討し続けた上で、どうしても人件費の削減が必要であると提言していました。

 

何度も資金繰りや損益を確認しながら話し合った結果、現体制で継続するとの意思決定でした。

 

結果的に倒産に至った案件の話ですので、苦渋の決断を先延ばしにしたことの結果論ではありますが、意思決定した内容には強い気持ちでコミットしなければなりません。

 

コンサルタントとして、提言内容や経営改善の方向性などがクライアント企業と合わないのであれば、他者にアドバイスを求めていただいて構わないと考えています。

 

その内容がいいと思ったのであれば、それを採用したらいいのです。決めることが経営者の仕事です。

 

特に再生局面では、重たい意思決定に迫られることが多々あります。

 

納得いかないこと、理解が不十分なことがあれば、とことん考えて、相談して、経営の改善に向き合いましょう。

 

中小企業診断士 木戸貴也