2024.09.24

  • 経営改善

経営改善がうまくいかない事例を見て思うこと

こんにちは。中小企業診断士の谷です。

 

経営改善がうまく進まない事例を見ていると、ただ計画を立てたり、金融機関と交渉したり、コスト削減策を打ち出すだけでは不十分だと感じます。

 

金融機関は、外部専門家を活用して、効率的な改善を進めたいと考えます。

しかし、経営者側は、そのサポートに対する費用負担を嫌がり、改善計画を「金融機関からの要求」として受け取ることが多く、真剣に取り組む意欲が低いことがあります。

 

その結果、計画は単なる形式的な書類として終わってしまいます。

 

このような事例を見ていると、経営改善の取組には、まずは経営者との信頼関係を築き、経営に対する真剣な思いを共有することが必要であると常々感じるようになりました。

 

多くの場合、計画の内容や技術的な改善策に焦点が当たりますが、実際のところ、経営者自身が改善に対する強い意欲を持たなければ、どんなに優れた計画でも実行に移されることはありません。

 

一方で、経営改善の成功事例を見ると、その鍵となったのは、経営者の皆さまが自らの意志で、主体的に改善に取り組む姿勢を持たれたことです。

私たちが提案する改善策は、あくまで皆さまの思いや目標を実現するための手段であり、押し付けられるべきものではありません。どんなに優れた計画でも、経営者の皆さまが納得し、心から「やってみよう」と思えるものでなければ実行に移されることはありません。

 

したがって、私はまず皆さまのお話をじっくりと伺い、どんな思いで事業を続けてきたのか、どんな未来を描いておられるのか、その気持ちを膝を突き合わせ、共有することを大切にしたいと思います。

そして、我々がどのようにお手伝いできるのかを一緒に考えていきたいです。

 

経営改善は、決して一朝一夕で成し遂げられるものではありません。

日々の業務の中で直面する数々の課題を乗り越えながら、少しずつ前進していくものです。

経営者の皆さまの情熱や覚悟を引き出し、それを実現するためのサポートをさせて頂ければと思います。

どんな些細なことでも構いません。まずは、皆さまの思いをお聞かせください。

そこから、経営改善の第一歩が始められれば思います。

中小企業診断士 谷 七音

 

2024.09.12

  • 経営改善

収益改善に取り組む第一歩「相乗積」とは?

こんにちは、ビジネスアナリストの社内です。

もう何カ月も営業赤字が続いている…そのような状況の時、まず事業者が取り組むべきことは「現状把握」です。

今回は現状把握のツールの一つとして、相乗積をご紹介します。

 

<相乗積>

相乗積とは、事業のカテゴリーや商品群ごとの利益貢献度を表す指標です。

売上の貢献度(売上構成比)と利益の貢献度(利益率)から算出されます。

『相乗積=各カテゴリー・商品群の売上構成比×利益率』

高い相乗積を持つカテゴリーや商品群は、全体の利益に大きく貢献していることを意味します。

 

<スーパーマーケットA店での例>

例えば、スーパーマーケットA店において、精肉、鮮魚、野菜、パンなど各売り場の相乗積を算出してみます。

すると、鮮魚売り場の相乗積が4.42%と最も大きく、一方でパン売り場の相乗積は1.30%と最も低いことが分かりました。

これは、経営が苦しいからとにかく売上を上げようと、社員全員で頑張ってパン売り場の売上を上げていても、全体の利益に与える影響は小さいということです。

一方で、鮮魚品の売上増に伴う全体利益の増加幅は大きいため、同じ労力を割いても、会社全体が受ける影響はより大きなものになります。

鮮魚売り場の面積を広げたり、イベントを開いたりと、店舗が注力すべきカテゴリーが明らかになります。

 

相乗積はスーパーマーケットなど小売業で用いられることが多いです。

しかし、実は製造業や建設業などあらゆる業界にてご活用いただけるツールです。

たとえば、製造業であっても利益率の高い製品、低い製品は必ずあるはずです。

収益性の改善に取り組む前に相乗積を計算して現状を把握、そして、限られた営業リソース、時間を収益性の高い製品に集中させましょう。

 

自社の現状が分かれば、自社内の比較だけでなく、競合他社との比較分析にも役立てることができそうです。

一度試してみてはいかがでしょうか。

 

ビジネスアナリスト 社内 愛里

2024.08.28

  • 事業再生
  • 経営改善
  • 経営者の姿勢

苦渋の決断を先延ばしにした経営者の末路

こんにちは、中小企業診断士の木戸です。

 

経営改善計画を策定し、金融機関からのリスケ等の金融支援を受けてながら、経営改善に取り組んでいても残念ながら再生できずに倒産にいたることがあります。

 

弊社にご相談いただいたタイミングでの経営の毀損状態は様々で、今月末の支払ができず打てる手が限られるケースもあれば、まだリスケ前であり複数の選択肢を持ったうえで改善に取り組めるケースもあります。

 

後者であれば、リスケによって資金繰りを改善し、『固定費削減→利益率改善→売上高増加』のステップに沿って経営改善に取り組むことをベースに考えるべきです。

 

前者の場合でも基本的なステップは同じなのですが、とにかく1、2か月の資金繰りを確保しなければなりません。

 

返済を止める、納税を遅らせる、仕入の支払を待ってもらう、代金回収を早めるなどで対応できることもありますが、この段階で資金がショートしてしまうことが実際のところあります。

 

何とか資金を確保して乗り越えた先で問題が発生します。

 

それは、経営者が今までのやり方、考え方、仕事の進め方、組織体制、営業拠点などを変えることができず、結果として直ぐに資金が枯渇してしまうことです。

 

経営改善が必要になる背景には、経営者の判断ミス、戦略の誤りなど経営者に起因する原因があるものです。

 

赤字になってしまったやり方、考え方を改めない限りは、黒字化し、経営改善を進めることは厳しいです。

 

コンサルタントとしてクライアントが倒産することを回避し、少しでも早く再生してほしいとの思いから、厳しい言い方や言いたくないようなことなども経営者に伝えます。

 

しかし、最終的な意思決定をするのは経営者ですし、伝えるべきことは伝えた上での意思決定なのであればその意見を尊重して経営改善に取り組みます。

 

人に言われたからやっているからでは力は入らないでしょうし、何より自分で決めたことに責任を持って取り組むことに意味があると思います。

 

一方で、倒産に至った経営者から、「あの時、木戸さんが言ったようにしていたら良かった。」との話がありました。

 

この案件については、他の経費削減や収益改善、売上アップに取り組んでも赤字幅が大きすぎるため、他の策を検討し続けた上で、どうしても人件費の削減が必要であると提言していました。

 

何度も資金繰りや損益を確認しながら話し合った結果、現体制で継続するとの意思決定でした。

 

結果的に倒産に至った案件の話ですので、苦渋の決断を先延ばしにしたことの結果論ではありますが、意思決定した内容には強い気持ちでコミットしなければなりません。

 

コンサルタントとして、提言内容や経営改善の方向性などがクライアント企業と合わないのであれば、他者にアドバイスを求めていただいて構わないと考えています。

 

その内容がいいと思ったのであれば、それを採用したらいいのです。決めることが経営者の仕事です。

 

特に再生局面では、重たい意思決定に迫られることが多々あります。

 

納得いかないこと、理解が不十分なことがあれば、とことん考えて、相談して、経営の改善に向き合いましょう。

 

中小企業診断士 木戸貴也

2024.08.26

  • 経営改善
  • 経営者の姿勢

強い意志がない経営者は何をやっても無理

皆さん、こんにちは。フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。

 

最近の経営支援の案件は、以前にも増して厳しい案件が増えています。

 

このまま倒産件数が加速度的に増えていくのではないかと不安になります。

 

特に目立つのは「すでにリスケ中で資金調達ができないにもかかわらず手元キャッシュが少なすぎる」ケースです。

中には運転資金が数万円、数十万円のケースもありますし、百万円を工面するのも難しいケースも多くなりました。

 

そのような状況に至らないと置かれている状況が理解できない経営者の方も多くなりましたし、落ち込んで泣き言や他責思考の経営者の方も多くなりました。

 

私は自社のコンサルタント職にも伝えるのですが「できないものはできない。」という考え方をもっています。

 

経営者の能力や気持ち、手元の運転資金、金融機関の支援スタンスを総合考慮すると残念ながら「倒産やむなし」と判断せざるを得ないことはあります。

 

経営支援をしている専門家から「そのような言葉は聞きたくない」とお叱りを受けるかもしれませんが、それが現実です。

 

経営する能力がないのに経営者をやってしまった、赤字に向き合わず借入でその場逃れをしてきた経営者には明るい将来はありません。

 

再生できる可能性があるとすれば、必死に問題と向き合い、改善に向けて実践することです。

 

まずは、気持ちを強く持つことがスタートなのですが、ここが難しいようです。

 

私も人生を振り返るととても辛い時期がありました。

 

でも、強い気持ちで何とか乗り越えることができました。

 

強い気持ちと行動が状況を打破することができます。

 

資金繰りを改善する方法、業績を改善する方法、金融機関の支援を取り付ける方法はたくさんありますが、すべて経営者自身に強い心がなければ道半ばで終わります。

 

プライドを捨て、自分の責任で経営を立て直すという強い意志をもって経営に真摯に向き合えば道は開かれます。

 

精神論と揶揄する人も大勢いますが、経営者の正しい方向の強い精神力こそが経営をする上で最も重要な経営資源なのです。

2024.08.26

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経営改善計画策定支援事業(405)とは  ~国から専門家費用の補助があります!~

こんにちは、ビジネスアナリストの社内です。

 

当ブログでは経営改善計画策定支援事業、あるいは405事業についてよく話題にあげております。

今回はそもそもどんなものなのかをお話ししたいと思います。

 

経営改善計画策定支援事業とは、借入の返済負担が重く資金繰りが苦しいという財務上の問題を抱えている事業者様の経営改善を促進するための国の事業です。

金融機関にリスケを依頼すると、経営改善計画を策定するよう求められます。

ただし、多くの中小企業や小規模事業者の経営者様にはこれら計画を策定したご経験がないため、自ら策定することは難しいと思われます。

 

そこで、当該事業は中小企業経営強化支援法に基づき、

当社のような認定支援機関が事業者様の依頼を受けて計画書の策定バンクミーティングその後の計画遂行にあたるご支援(伴走支援)を実施するものです。

 

事業者様にとってのメリット

  • 金融機関から金融支援をスムーズに受けられる。
  • 資金繰りが安定し、本業の経営改善に集中できる。
  • 認定支援機関による3年間の伴走支援を受けられる。
  • 計画策定と伴走支援について、国から2/3までの費用補助を受けられる(諸条件あり)。

 

当社はこれまで数多くの事業者様に対し、経営改善計画の策定やその後の再生に向けたご支援に携わってまいりました。

円滑にリスケジュールができ、資金流出の一時停止ができるだけでなく、専門家の意見を踏まえ、事業を抜本的に立て直す機会となります。

どうすれば赤字体質から脱出、自社を再建できるのかできるのか、ご一緒に考えてまいりましょう。

ビジネスアナリスト 社内 愛里