2024.11.30

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赤字会社の共通項

皆さん、こんにちは。フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。

 

11月は出張も多く、非常に多忙でした。

 

大阪を拠点にしながら仙台、京都、岡山、山口、和歌山、福井、三重、東京と主に経営改善支援で各地を行脚してきました。

 

案件の多くはすでにリスケジュール(元本返済の減額または猶予)をしている、もしくはまもなくリスケジュールを行う支援先様で、財務状態が相当程度に毀損されています。

 

業種も規模も様々ですが、財務状態が著しく毀損されている会社の特徴は驚くほど似通っています。

 

私が経営改善の最前線で見てきた経営改善が必要な会社の共通項をいくつかご紹介しましょう。

 

 

1.過剰債務

慢性的な赤字に対して収益性の改善に取り組まず、金融機関から借りることで何とか資金を繋いできたパターンです。特にコロナ融資は満額借りた会社ほど、負債額だけが大幅に増加しています。融資が難しくなると次はリースバックやファクタリングなど限界まで資金調達に奔走し、どうにもこうにも行かなくなってから事の重大性に気づきます。

 

 

2.判断の遅さ

例えば新規開拓営業、値上げ交渉、経費の削減など、すぐに着手しなければならない事案であってもとにかく行動が遅いパターンです。様子を見る、今期はこのままで、業界の慣習だから・・・などの言い訳ばかりで行動に移すまでに数ヶ月もしくは数年を要するケースもあります。

 

 

3.行動量の少なさ

何か新しい取り組みを行う時、赤字体質の会社は1度行動を起こして結果が出なければすぐにやめてしまいます。例えばSNSやHPの更新などです。ビジネスの世界ではすぐに結果が出ないことが多く、継続性が要求されます。経費の削減など即効性のある取り組みも重要ですが、同時に中長期的な飯の種を蒔かなければなりません。しかし、赤字体質の会社には継続性が全くなく、諦めるのが早い傾向にあります。

 

4.外部環境に原因を求める

自社の弱みにフォーカスするのではなく、外部環境に自社の赤字の要因を求めてしまいます。自社の弱みに向き合わず、経営改善から逃げ、時間だけが経過してしまいます。

 

他にもありますが、上記4つの項目は経営状況の悪い会社の多くに共通する特徴です。

 

皆様も一つでも自社に当てはまる場合は、必ず考え方を改めてください。

 

中小企業を取り巻く環境は決して優しいものではありません。

 

経営に対して真摯に取り組む姿勢、結果やプロセスにこだわる姿勢は常に持ち続けましょう。

2024.07.11

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経営改善サポート保証(感染症対応型)が延長されました

こんにちは、中小企業診断士の杉本です。

 

先日の木戸の投稿にもあったように、コロナ禍における民間金融機関の中小企業向け資金繰り支援は段階的に終了し、新型コロナセーフティネット保証4号や伴走支援特別保証(コロナ借換保証)はこの6月末をもって終了しました。

 

ただし、経営改善サポート保証(感染症対応型)は12月末まで半年間延長されております。

 

経営サポート保証制度(感染症対策型)は、従来の経営改善サポート保証制度の据え置き期間を最大5年間に緩和した上で、保証料の企業負担を大幅に引き下げるものとして2021年4月から開始されました。

 

 

この制度は、感染症の影響を受けた中小企業が経営改善計画を策定し、その取り組み後押しするための制度です。経営改善計画については、信用保証協会による経営サポート会議や中小企業活性化協議会等の支援による経営改善計画のほか、認定支援機関が経営改善計画策定支援事業によって策定した計画についても、全債権者の同意を得ることが出来れば対象とすることが出来ます。

 

コロナ関連の資金繰り支援は経営改善サポート保証(感染症対応型)に一本化された形となり、企業の今後の資金調達の際には経営改善計画の策定が必要となってくるでしょう。

 

弊社では関西をはじめとして、全国の事業者様の経営改善計画の策定支援を行っております。

無料経営相談も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

お問い合わせはこちら

中小企業診断士 杉本貴弘

2024.06.24

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事業再生の実務 ~リスケ中に受けた「コロナ融資」の返済方法~

皆さん、こんにちは。フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。

 

大阪はようやく梅雨入り宣言されました。

 

梅雨入りが非常に遅かったので、早く明けると思いますが短時間に強烈な雨が降ることが多くなっているので皆様もお気を付けください。

 

さて、今回は私が支援している事業者様のケースを紹介します。

 

現在、支援させていただいている事業者様ですが、約10年前からリスケしており、新規融資を受けることができない状態が続いていました。

 

そんな中、2010年の春ごろから新型コロナが蔓延し、いわゆる「コロナ融資」ということで、リスケしている企業にも新規融資が出ました。

 

この事業者様もリスケ中でしたので原則、資金調達はできなかったのですが「コロナ融資」は審査も緩く、融資を受けることができました。

 

コロナ融資の多くは据置期間(一定期間、元本返済を行わず利息のみを払う)を設けることができますので、この事業者様も3年の据置期間を設定しました。

ここまでは、リスケしている企業の多くが同じ状況かと思います。

 

しかし、コロナ融資の据え置き期間が終わり、返済が始まると様々な問題が出てきます。

 

例えば、この事業者様のように元々リスケしており、経営改善計画に沿って僅かの額を返済していた状態で、リスケ中に借りた「コロナ融資」の返済はどのように取り扱うべきかという問題が出てきます。

 

明確なルールがあるわけではないのですが、リスケ中に行った借入はそうでない借入よりも優先的に返済されるとするのが一般的です(あくまで私の経験則ですが)。

 

なぜなら、リスケ中は原則として借入はできませんが、金融機関からすればその中で無理をして融資したため、まずはそれを優先的に弁済すべきだとする考え方が成り立つからです。

 

ですから、この事業者様もリスケ中にコロナ融資を受けたわけですから、まずはコロナ融資を優先弁済すべきだと言えます。

 

しかし、コロナ融資の返済を優先すると、元々あった借入の返済が向こう数年できないという問題が発生します。

 

ですので、リスケ中に借りた融資を優先的に弁済するのが一般原則としながらも、明確なルールがあるわけではありませんので、私どものような専門家はメインバンクや保証協会と連携し、ケースバイケースで対応します。

 

今回の事業者様については、当初メインバンクは「コロナ融資を優先弁済」と強く主張しておりました(メインバンクがコロナ融資を行っていた)が、他行と調整した結果、それでは衡平性が著しく棄損されるということで、結局は全ての借入と同様に取り扱うことで落ち着きました。

 

このように、リスケ中に受けた新規融資の取り扱いは非常にナーバスな問題となることが多いのですが、コロナ以前はこうした状況はレアケースでしたので、返済についての議論の中で大きく取り扱われることはありませんでした。

 

しかし、コロナ融資はリスケ中の事業者様も借りている場合が多く、こうした問題は実際に増えてきています。

 

メインバンクの担当者がしっかりしていれば上手くハンドリングしてくれると思いますが、そうでない場合もありますし、金融機関同士で調整が取れない場合もあります。

 

そうした場合には必ず速やかに専門家にご相談ください。

 

それではまた次回です。