「赤字企業がすべき売上アップの施策」
株式会社フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。
全員ではないのですが大幅な赤字を計上している会社の経営者は危機感から固定費の削減を徹底的に進めており、これ以上経費の削減が難しい水準まで取り組まれているケースがあります。
私は、赤字でも何も手を打たない経営者をこれまでたくさん見てきましたので、「経費の削減だけでも取り組んでくれて良かった」と一定の評価をしますが、一方で、売上アップについては何も取り組んでいないケースが大半で、その方法も何も考えていない経営者ばかりで呆れてしまいます。
そこで、赤字企業の売上アップについての考え方を今回はお伝えします。
赤字企業の売上アップはとにかく既存事業の中で伸び代を探すことです。
経営者の多くは新事業や新しい取り組み、新しい話が大好きで、既存事業にフォーカスすることを嫌がりますが、既存事業で黒字化できない人間が新しいことに取り組んでも結果は見えていますし、新規事業や新しい話は先行投資や運転資金が先にいることが多く、現状よりもさらに厳しい状況に追い込まれます。
まずは、しっかりと既存事業で売上のトップラインを伸ばしていく事に注力すべきです。
具体的には既存顧客を売上や粗利の規模でABC分析し、顧客をランク分けします。
次にランク分けされた顧客の中で、まだ売上が伸ばせそうな先はないか経営者や幹部が営業担当と濃密に打ち合わせを行います。
この時に経営者が参加することが絶対に必要です。
経営者が率先して現場に入ることで危機感や必死さが生まれますし、一担当が見逃している事に気付く可能性もあります。
売上の伸ばし方としては単純に値上げ交渉も必要ですが、重要なのは他社に回している仕事を自社に回してもらうことです。
そのために平時(仕事がない時)から人間関係を構築しなければなりません。
人間関係を構築するための方法としてゴルフや飲み食いを想像するかもしれませんが、私の考えは異なっていて業界の情報をいち早く提供すること、取引先のニーズを聞き出すことを平時から徹底しておくことがとても大事です。
徹底と言ってもイメージが湧かないと思いますので、週に1回、月に2回など指標を決めて訪問する、提案書を作成する業界動向をメールするなどが良いでしょう。
赤字の会社に限って自社が困った時だけ営業する会社が多いですが、いつ何時も取引先のニーズを把握する姿勢やお困りごとを解決する姿勢があるかないかが、とても重要です。
私はこのやり方で自社の売上を12.7倍まで上げましたが、その間一度もゴルフやお酒の席は設けておりません。
新しい発想ではなく、既存事業の中で、既存の取引先の中で、相手の目線に立ってお困りごとはないか、ニーズはないか愚直に取り組んでいくことが赤字企業に必要な売上アップの施策です。
とにかく経営者が現場に出て、お客様の声を聞かなければならないのは言うまでもありません。
それではまた次回です。