2024.09.30

  • 経営改善
  • 経営者の姿勢

過去の栄光に拘るな

こんにちは、中小企業診断士の杉本です。

 

 

ある程度事業を長く続けている企業であれば、過去に成功を収めた経験のある経営者の方も多いかと思います。

業績が好調で寝る間も惜しんで働き、他社と比較しても自慢できる様な売上を計上し、経営者としては誇らしく、成果を上げたという自負もあるかと思います。

しかし、その過去の栄光にいつまでもしがみついていると、企業の成長は止まり、環境の変化に取り残されてしまいます。

 

 

経営改善の現場で経営者の方とお話をしていると、過去に見た夢をいつまでも追い続け、時代にそぐわない商品・サービスを提供し続けていることがあります。

夢を追うのは良いですが、時代に合わせて柔軟に対応しなければ消費者からはそっぽを向かれ、成長が止まるどころか経営難に陥ります。

 

 

成功体験が強ければ強いほど、その方法に固執しがちです。

しかし、過去に固執すると新たなアイデアや柔軟性が損なわれてしまいます。

その結果、目まぐるしく変化する環境に対応出来ず、競争に敗れてしまうのです。

 

 

SNSの発達前後ではマーケティング手法も異なります。

飲食業界ではコロナウイルスの流行前後で消費者のニーズも大きく変化しました。

これまで通りのやり方ではいつか必ず限界がやって来ます。

創業100年を超える老舗も、商品は変わらずとも売り方は変える等の柔軟さを持って事業を継続しているのです。

 

 

過去の栄光は参考にすべきものではありますが、拘り過ぎて足かせになってしまっては本末転倒です。

市場の変化や顧客のニーズに柔軟に対応し、過去ではなく未来を見据えて次の1歩を踏み出しましょう。

 

 

中小企業診断士 杉本貴弘

2024.08.29

  • 経営者の姿勢
  • 資金繰り

会社と個人の財布を分ける

こんにちは、中小企業診断士の杉本です。

 

「会社と個人の財布を分ける」

 

当たり前のことですが、これが出来ていない会社は一定数存在します。

特に小規模の個人事業や同族会社で見られます。

 

家の買い物を経費で落とす様な小さいものから、数万円から数十万円の飲食代や旅行代を会社の経費に算入させようとするケースも見られます。

これらを良しとはしませんがまだかわいいもので、本当に財布が同質化している場合は会社に現金がいくら残っているのかすら分かっていません。

 

社長に「今日現在の手許現金はいくら残っていますか」と質問すると、「分からない」と返ってきます。

帳簿と金庫にある現金の残高が異なるため何が正しいのかわからないのです。

日頃帳簿と現金の実残高を合わせている会社が殆どだとは思いますが、こういったどんぶり勘定を行っている会社は、会社の状態を正確に把握することができず経営難に陥ることが多いです。

 

経営難で資金不足に陥ると、金融機関からの借入の延滞、税金や社会保険料の滞納、仕入先への支払い遅延、果ては従業員給与の未払いなど、企業はあらゆる支払を止めてでも資金の確保を行い、事業継続の可能性を追求することになります。

 

上記の企業は、私が関わった段階で既に社保滞納、給与未払いにより退職者が続出しており、間もなく再建不能のため廃業となりました。

 

現預金は目に見えて価値がわかる資産です。

本来ならば貸借対照表の科目の中で一番正確な数字を示せる科目と言えるでしょう。

 

会社は会社の財布、個人は個人の財布を使う。

最低限このルールを守らなければ、試算表や決算書の信憑性が無くなり会社の正確な財務状態や経営成績を知ることはできません。

 

正しい会計知識とルールを守って経営状態の把握に努めましょう。

 

中小企業診断士 杉本貴弘

2024.08.28

  • 事業再生
  • 経営改善
  • 経営者の姿勢

苦渋の決断を先延ばしにした経営者の末路

こんにちは、中小企業診断士の木戸です。

 

経営改善計画を策定し、金融機関からのリスケ等の金融支援を受けてながら、経営改善に取り組んでいても残念ながら再生できずに倒産にいたることがあります。

 

弊社にご相談いただいたタイミングでの経営の毀損状態は様々で、今月末の支払ができず打てる手が限られるケースもあれば、まだリスケ前であり複数の選択肢を持ったうえで改善に取り組めるケースもあります。

 

後者であれば、リスケによって資金繰りを改善し、『固定費削減→利益率改善→売上高増加』のステップに沿って経営改善に取り組むことをベースに考えるべきです。

 

前者の場合でも基本的なステップは同じなのですが、とにかく1、2か月の資金繰りを確保しなければなりません。

 

返済を止める、納税を遅らせる、仕入の支払を待ってもらう、代金回収を早めるなどで対応できることもありますが、この段階で資金がショートしてしまうことが実際のところあります。

 

何とか資金を確保して乗り越えた先で問題が発生します。

 

それは、経営者が今までのやり方、考え方、仕事の進め方、組織体制、営業拠点などを変えることができず、結果として直ぐに資金が枯渇してしまうことです。

 

経営改善が必要になる背景には、経営者の判断ミス、戦略の誤りなど経営者に起因する原因があるものです。

 

赤字になってしまったやり方、考え方を改めない限りは、黒字化し、経営改善を進めることは厳しいです。

 

コンサルタントとしてクライアントが倒産することを回避し、少しでも早く再生してほしいとの思いから、厳しい言い方や言いたくないようなことなども経営者に伝えます。

 

しかし、最終的な意思決定をするのは経営者ですし、伝えるべきことは伝えた上での意思決定なのであればその意見を尊重して経営改善に取り組みます。

 

人に言われたからやっているからでは力は入らないでしょうし、何より自分で決めたことに責任を持って取り組むことに意味があると思います。

 

一方で、倒産に至った経営者から、「あの時、木戸さんが言ったようにしていたら良かった。」との話がありました。

 

この案件については、他の経費削減や収益改善、売上アップに取り組んでも赤字幅が大きすぎるため、他の策を検討し続けた上で、どうしても人件費の削減が必要であると提言していました。

 

何度も資金繰りや損益を確認しながら話し合った結果、現体制で継続するとの意思決定でした。

 

結果的に倒産に至った案件の話ですので、苦渋の決断を先延ばしにしたことの結果論ではありますが、意思決定した内容には強い気持ちでコミットしなければなりません。

 

コンサルタントとして、提言内容や経営改善の方向性などがクライアント企業と合わないのであれば、他者にアドバイスを求めていただいて構わないと考えています。

 

その内容がいいと思ったのであれば、それを採用したらいいのです。決めることが経営者の仕事です。

 

特に再生局面では、重たい意思決定に迫られることが多々あります。

 

納得いかないこと、理解が不十分なことがあれば、とことん考えて、相談して、経営の改善に向き合いましょう。

 

中小企業診断士 木戸貴也

2024.08.26

  • 経営改善
  • 経営者の姿勢

強い意志がない経営者は何をやっても無理

皆さん、こんにちは。フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。

 

最近の経営支援の案件は、以前にも増して厳しい案件が増えています。

 

このまま倒産件数が加速度的に増えていくのではないかと不安になります。

 

特に目立つのは「すでにリスケ中で資金調達ができないにもかかわらず手元キャッシュが少なすぎる」ケースです。

中には運転資金が数万円、数十万円のケースもありますし、百万円を工面するのも難しいケースも多くなりました。

 

そのような状況に至らないと置かれている状況が理解できない経営者の方も多くなりましたし、落ち込んで泣き言や他責思考の経営者の方も多くなりました。

 

私は自社のコンサルタント職にも伝えるのですが「できないものはできない。」という考え方をもっています。

 

経営者の能力や気持ち、手元の運転資金、金融機関の支援スタンスを総合考慮すると残念ながら「倒産やむなし」と判断せざるを得ないことはあります。

 

経営支援をしている専門家から「そのような言葉は聞きたくない」とお叱りを受けるかもしれませんが、それが現実です。

 

経営する能力がないのに経営者をやってしまった、赤字に向き合わず借入でその場逃れをしてきた経営者には明るい将来はありません。

 

再生できる可能性があるとすれば、必死に問題と向き合い、改善に向けて実践することです。

 

まずは、気持ちを強く持つことがスタートなのですが、ここが難しいようです。

 

私も人生を振り返るととても辛い時期がありました。

 

でも、強い気持ちで何とか乗り越えることができました。

 

強い気持ちと行動が状況を打破することができます。

 

資金繰りを改善する方法、業績を改善する方法、金融機関の支援を取り付ける方法はたくさんありますが、すべて経営者自身に強い心がなければ道半ばで終わります。

 

プライドを捨て、自分の責任で経営を立て直すという強い意志をもって経営に真摯に向き合えば道は開かれます。

 

精神論と揶揄する人も大勢いますが、経営者の正しい方向の強い精神力こそが経営をする上で最も重要な経営資源なのです。

2024.07.31

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改善計画が未達の場合どうなるか

こんにちは、中小企業診断士の杉本です。

 

バンクミーティングを経て合意を得た経営改善計画については、認定支援機関が引き続きモニタリングを行い、計画の進捗確認や遂行を促します。

 

もし、モニタリングの結果、計画を達成が見込めない場合どうなるかという点を気にされる企業様も多いかと思います。

 

策定した実抜計画・合実計画の改善計画の達成が見込めない場合は、実質債務超過額の解消や債務償還年数についても当初計画の期間内の達成が困難になると考えられます。

全て個別対応となりますが、支援機関は取引金融機関と情報共有を行い、対応策を検討することとなります。

 

計画と実績の乖離が軽微であり、再度リスケジュールの支援により計画への復帰が可能と見込まれる場合は、取引金融機関の同意を得て再リスケジュールを検討します。

一方で、リスケジュールの支援では計画への復帰が見込めない場合については、計画の見直しを行い、再策定の検討となります。

ただし、実抜計画・合実計画の要件を満たす計画が困難となった場合は、抜本的な取り組みを用いた計画の策定が必要となります。

 

改善計画が暫定計画であった場合は、支援機関のアドバイスを受け、施策項目について1つ1つ個別に改善に取り組みます。

それでも計画と実績の乖離が大きい場合は、抜本的に事業再生が必要となると考えられます。

暫定リスケの場合、事業再生に取り組む準備期間として3年程度の猶予期間を与えられていることから、計画が達成できない場合は事業の継続可能性について疑義が生じていることとなります。

この場合、フリーキャッシュフローがプラスであれば返済原資を生み出していると考えられることから、まだ再リスケジュール等の検討の余地はあります。

しかし、フリーキャッシュフローがマイナスの場合は、事業継続が困難であると考えられ、金融機関からは事業を続けていても回収が見込めないと判断されることとなり、廃業の選択肢も浮かび上がってきます。

 

改善計画の未達の場合、金融機関からは非常に厳しい評価をされると言って良いでしょう。

金融機関からの評価のために事業を行う訳ではないですが、経営改善には本気で、全力で取り組まなければ、手遅れになってしまいます。

 

中小企業診断士 杉本貴弘