売上総利益率を向上させる切り口
皆様、こんにちは。フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。
「会社は儲かっているはずなのに、なぜか手元にお金が残らない」
「銀行からの借入が増えるばかりで、資金繰りが苦しい」
多くの経営者が、このような悩みを抱えています。売上が上がれば会社は成長する、と信じて日々の営業活動に奔走していることでしょう。
しかし、その努力が報われず、慢性的な赤字や資金繰りの悪化に苦しんでいるケースは少なくありません。
危機感から、人件費や家賃といった固定費の削減には多くの経営者が取り組んでいます。
もちろん固定費の削減は重要ですが、それだけでは根本的な解決には至りません。
なぜなら、多くの会社の赤字の原因は、もう一つの重要な利益である売上総利益、つまり粗利にあるからです。
なぜ、粗利の改善が後回しになるのか?
「売上さえ上がれば粗利も増える」という考えは、ある意味正しいです。
しかし、売上を上げるために安易な値引きをしたり、価格競争に巻き込まれてしまったりしていませんか?
これでは、売上は増えても粗利率が下がり、結果として粗利額が思うように伸びず、会社全体の利益を圧迫してしまいます。
実は、固定費の削減には限界があります。従業員の給与を下げたり、オフィスを移転したり、とできることは限られます。
一方、粗利を改善するための取り組みは、工夫次第で無限の可能性があります。しかし、多くの経営者は、粗利を改善するための具体的な方法がわからず、後回しにしてしまう傾向にあります。
粗利改善のための3つの切り口
では、具体的にどのような手を打てば良いのでしょうか。業種特性にもよりますが基本的な3つの考え方をご紹介します。
1. 見積もりの精度を徹底的に高める
「見積もりはざっくりでいい」「他社と比べて安ければ受注できる」と考えていませんか? 適切な粗利を確保するためには、見積もりの精度を徹底的に高めることが不可欠です。
原価計算を甘く見てはいけません。
材料費、外注費はもちろんのこと、人件費や間接費など、あらゆるコストを正確に把握しましょう。さらに、受注後の追加費用や予期せぬトラブルによるコスト増も考慮に入れた、現実的な見積もりを作成することが重要です。
たとえば、製造業であれば、製品ごとの材料費や加工費、外注費を細かく洗い出す。サービス業であれば、作業にかかる時間や人件費を正確に積算する。こうした地道な努力が、適正な粗利を確保する第一歩となります。
2. 付加価値を高めて「価格競争」から脱却する
競合他社と同じような商品やサービスを提供していては、価格競争に巻き込まれてしまいます。価格競争に陥ると、粗利率はどんどん低下し、やがては利益を失うことになります。
「価格」ではなく「価値」で選ばれる会社を目指しましょう。そのためには、商品やサービスに付加価値をつけ、他社との差別化を図る必要があります。
独自の強みを明確にする: 「他社にはない技術」「長年の実績」「専門性の高いサービス」など、自社の強みを再確認しましょう。
顧客の課題を解決する: 顧客が本当に求めているものは何か? 顧客の声に耳を傾け、その課題を解決するような新しいサービスや商品を開発しましょう。
品質とサービスを向上させる: 納期を守る、丁寧なアフターフォロー、きめ細やかなサポートなど、顧客満足度を高めることで、価格以上の価値を提供できます。
「御社だからお願いしたい」と言われるような、唯一無二の存在になることが、価格競争から抜け出す最大の戦略です。
3. 継続的なコスト見直しと効率化
粗利を増やすためには、売上を増やすだけでなく、原価を下げる努力も必要です。
仕入れ先の見直し: 定期的に複数の仕入れ先から相見積もりを取り、より安価で高品質な材料やサービスを探しましょう。
業務プロセスの効率化: 無駄な作業をなくし、業務を効率化することで、人件費や間接費を削減できます。ITツールの導入や、業務フローの見直しなどを検討してみましょう。
在庫管理の徹底: 過剰な在庫は、保管費用や管理費用を増大させます。適切な在庫量を維持することで、無駄なコストを削減できます。
これらの取り組みは、短期的な効果だけでなく、長期的に会社の利益体質を改善していく上で不可欠です。
まずは一歩踏み出してみよう。
「うちは特別なことはできない」「どうせやっても変わらない」と諦めていませんか?
経営改善は、一朝一夕で成し遂げられるものではありません。
しかし、今日からできることは必ずあります。
まずは、自社の粗利率を正確に把握し、どこに改善の余地があるのかを考えてみてください。
そして、今回ご紹介した3つの戦略の中から、一つでも良いので実行に移してみましょう。
見積もりをより詳細に作成する、顧客の声を聞いて新しいサービスを考えてみる、など小さな一歩から始めることが、赤字体質を脱却し、健全な経営を実現するための大きな力となります。
「売上を上げても儲からない」と悩む日々から脱却し、会社をより良い方向へと導くために、売上総利益率の改善に真剣に取り組んでみませんか。