2025.08.31

  • 経営改善
  • 経営者の姿勢

売上総利益率を向上させる切り口

皆様、こんにちは。フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。

 

「会社は儲かっているはずなのに、なぜか手元にお金が残らない」

「銀行からの借入が増えるばかりで、資金繰りが苦しい」

 

多くの経営者が、このような悩みを抱えています。売上が上がれば会社は成長する、と信じて日々の営業活動に奔走していることでしょう。

しかし、その努力が報われず、慢性的な赤字や資金繰りの悪化に苦しんでいるケースは少なくありません。

 

危機感から、人件費や家賃といった固定費の削減には多くの経営者が取り組んでいます。

もちろん固定費の削減は重要ですが、それだけでは根本的な解決には至りません。

なぜなら、多くの会社の赤字の原因は、もう一つの重要な利益である売上総利益、つまり粗利にあるからです。

 

なぜ、粗利の改善が後回しになるのか?

「売上さえ上がれば粗利も増える」という考えは、ある意味正しいです。

 

しかし、売上を上げるために安易な値引きをしたり、価格競争に巻き込まれてしまったりしていませんか?

 

これでは、売上は増えても粗利率が下がり、結果として粗利額が思うように伸びず、会社全体の利益を圧迫してしまいます。

実は、固定費の削減には限界があります。従業員の給与を下げたり、オフィスを移転したり、とできることは限られます。

 

一方、粗利を改善するための取り組みは、工夫次第で無限の可能性があります。しかし、多くの経営者は、粗利を改善するための具体的な方法がわからず、後回しにしてしまう傾向にあります。

 

粗利改善のための3つの切り口

では、具体的にどのような手を打てば良いのでしょうか。業種特性にもよりますが基本的な3つの考え方をご紹介します。

1. 見積もりの精度を徹底的に高める
「見積もりはざっくりでいい」「他社と比べて安ければ受注できる」と考えていませんか? 適切な粗利を確保するためには、見積もりの精度を徹底的に高めることが不可欠です。

原価計算を甘く見てはいけません。

材料費、外注費はもちろんのこと、人件費や間接費など、あらゆるコストを正確に把握しましょう。さらに、受注後の追加費用や予期せぬトラブルによるコスト増も考慮に入れた、現実的な見積もりを作成することが重要です。

たとえば、製造業であれば、製品ごとの材料費や加工費、外注費を細かく洗い出す。サービス業であれば、作業にかかる時間や人件費を正確に積算する。こうした地道な努力が、適正な粗利を確保する第一歩となります。

 

2. 付加価値を高めて「価格競争」から脱却する
競合他社と同じような商品やサービスを提供していては、価格競争に巻き込まれてしまいます。価格競争に陥ると、粗利率はどんどん低下し、やがては利益を失うことになります。

「価格」ではなく「価値」で選ばれる会社を目指しましょう。そのためには、商品やサービスに付加価値をつけ、他社との差別化を図る必要があります。

独自の強みを明確にする: 「他社にはない技術」「長年の実績」「専門性の高いサービス」など、自社の強みを再確認しましょう。

顧客の課題を解決する: 顧客が本当に求めているものは何か? 顧客の声に耳を傾け、その課題を解決するような新しいサービスや商品を開発しましょう。

品質とサービスを向上させる: 納期を守る、丁寧なアフターフォロー、きめ細やかなサポートなど、顧客満足度を高めることで、価格以上の価値を提供できます。

「御社だからお願いしたい」と言われるような、唯一無二の存在になることが、価格競争から抜け出す最大の戦略です。

 

3. 継続的なコスト見直しと効率化
粗利を増やすためには、売上を増やすだけでなく、原価を下げる努力も必要です。

仕入れ先の見直し: 定期的に複数の仕入れ先から相見積もりを取り、より安価で高品質な材料やサービスを探しましょう。

業務プロセスの効率化: 無駄な作業をなくし、業務を効率化することで、人件費や間接費を削減できます。ITツールの導入や、業務フローの見直しなどを検討してみましょう。

在庫管理の徹底: 過剰な在庫は、保管費用や管理費用を増大させます。適切な在庫量を維持することで、無駄なコストを削減できます。

 

 

これらの取り組みは、短期的な効果だけでなく、長期的に会社の利益体質を改善していく上で不可欠です。

まずは一歩踏み出してみよう。

「うちは特別なことはできない」「どうせやっても変わらない」と諦めていませんか?

経営改善は、一朝一夕で成し遂げられるものではありません。

 

しかし、今日からできることは必ずあります。

 

まずは、自社の粗利率を正確に把握し、どこに改善の余地があるのかを考えてみてください。

 

そして、今回ご紹介した3つの戦略の中から、一つでも良いので実行に移してみましょう。

 

見積もりをより詳細に作成する、顧客の声を聞いて新しいサービスを考えてみる、など小さな一歩から始めることが、赤字体質を脱却し、健全な経営を実現するための大きな力となります。

 

「売上を上げても儲からない」と悩む日々から脱却し、会社をより良い方向へと導くために、売上総利益率の改善に真剣に取り組んでみませんか。

2025.06.30

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中小企業は課題を絞り、突破口をつくるべき理由

皆さん、こんにちは。

 

フラッグシップ代表、中小企業診断士の長尾です。

 

このゴールデンウイーク明けから経営改善(赤字会社の支援)の仕事が多く、私の案件の95%くらい占めていたかとおもいます。

 

支援したすべての会社で「赤字体質」「過剰債務」「債務超過」「売上の減少が止まらない」「利益率が低い」「資金繰りが厳しい」の状態です。

 

他にも人材育成や人材不足など決算書では分からない問題もあるでしょう。

 

どの問題も複雑に絡み合っており、まさに何から手を付けていいか分からない状況です。

 

しかし、このようなお悩みを持っていることは中小企業では珍しくありません。

 

むしろ、経営資源の限られた中小企業ではごく自然な現象です。

 

開き直るわけではありませんが大企業と比べて使えるリソースが圧倒的に少ないなかで、すべての課題に一斉に取り組もうとすること自体が無理なのです。

 

だからこそ、中小企業経営においては「課題を絞り、一点集中で取り組む」ことが極めて重要です。

 

ポイントは、「その課題を解決すれば、他の多くの課題も一緒に解決される」ような、いわば“てこの原理”が働くレバレッジの高いテーマを選ぶことです。

 

例えば、

 

「新規開拓」に集中すると、売上増加はもちろん、営業力の底上げ、社内の活性化にもつながります。

 

「採用力強化」に注力すれば、人手不足解消だけでなく、組織風土の刷新、サービス品質の安定化にも寄与します。

 

このように、「一石二鳥」あわよくば「一石三鳥」が狙えるテーマに集中することが、限られた経営資源を最大限に活かす鍵になります。

 

また、集中して取り組むためには、経営者自身が迷わないことも重要です。

 

課題は次々と湧いてきます。

 

そのたびに方向性を変えていては、組織も疲弊します。

 

「我々は、今は〇〇に集中する」と社内外に明言し、その旗を振り続ける姿勢が問われます。

 

そして集中の期間を区切り、3ヶ月、6ヶ月と時間を決めてやり切ることで、組織に成果と達成感を残すことができます。

 

中小企業にとって、経営は「やらないことを決める勇気」と「今、取り組むべきことを徹底する集中力」の両立です。

 

課題が山積みだからこそ、優先順位を見極め、“多くの成果につながる一手”に全力を注ぐべきです。

 

 

「集中すれば、道は開ける」

 

このシンプルな原理こそ、資源が限られる中小企業が生き抜き、成長するための鉄則なのです。

 

それでは、また次回です。

 

 

 

2025.04.16

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経営者が“経営に本気になる”ために必要なこと

皆さん、こんにちは。
フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。

今回は経営者の意識についての話です。
赤字の企業を立て直すにはビジネスモデルを再設計するのはもちろんですが、経営者がこれまでの意識を変える覚悟がなければなりません。

その辺りを最前線で経営改善支援を行っている私が感じたことをまとめてみました。

【赤字企業を変える意識の再起動】
 企業が赤字に陥ったとき、真に問題となるのは財務状態そのものではなく、「経営者の意識」の在り方です。
多くの経営者が、数字に対して鈍感になったり、「なんとかなるだろう」という惰性の経営に陥ってしまっています。
しかし、組織を立て直すためには、まず経営者自身が“本気で経営と向き合う”ことが不可欠です。

では、どうすればその意識転換が起こるのか。以下に、実務的な視点と心理的側面を交えて考察していきます。

 

 

1. 「現実」と「危機」の認識を促す
経営者が経営に向き合わない最大の要因の一つは、「自社の危機に気づいていない」または「見て見ぬふりをしている」ことです。

客観的な数値で現状を“見える化”する
→ 損益、キャッシュフロー、債務超過リスクなどを具体的に分析

もし何もしなかった場合の“未来”を提示する
→ 資金枯渇の時期や倒産リスクを時系列で示す

社外の目(金融機関、取引先、専門家)を通して事実を突きつける
→ 第三者の評価は、当事者に強いインパクトを与える

➡ 経営者自身が“もう逃げられない”と腑に落とすことが、意識改革の第一歩です。

 

 

2. 「本音」から再起の動機を引き出す
赤字経営の中でも事業を続けるのには、何かしらの理由があるはずです。
本音に向き合うことで、再び“やる気の種”を掘り起こせることがあります。

「なぜ今までこの会社をやってきたのか?」を掘り下げる

「何のために事業を続けたいのか?」という問いを自分に投げかける

“生活のため”や“家族のため”も立派な動機になる

➡ 原点を思い出すことで、表面的な危機感ではなく“腹の底からの覚悟”が芽生えることがある。

 

 

3. 「孤独からの脱却」を支援する
本気になれない経営者の多くは、孤独で疲弊しています。支援者や信頼できる人の存在が、再起のきっかけになります。

相談できる右腕・外部顧問・士業の存在を用意する

愚痴や不安も言える安全な対話の場をつくる(定期的な面談など)

「経営に向き合うのは自分一人ではない」という安心感を与える

➡ 経営は孤独との戦いだが、“一緒に向き合う人がいる”と認識できると、前に進む意欲が生まれる。

 

 

4. 「小さな成果体験」を仕組みとして設計する
いきなり黒字化を求めるのではなく、改善の手応えを“体感”できる設計が重要です。

固定費の1割削減、原価率の見直しなど、限定的な改善プロジェクトを実施

数字に表れる前に、社員の声や顧客の反応をフィードバックとして届ける

成果が出たら小さくても大きく称賛する

➡ 「やれば変わる」という実感が、経営に対する本気度を強くしていく。

 

 

5. 「ビジョンの再構築」で未来を描かせる
目の前の赤字にばかりとらわれていると、経営者の視野はどんどん狭くなっていきます。
だからこそ、未来を語れるビジョンの再定義が必要です。

3年後・5年後の「理想の会社像」を言語化するワークを設ける

経営者の“ワクワク”を呼び起こすような問いを投げる(「もし資金や人材が無限にあるとしたら?」など)

社員と共有できる“物語”として構築する

➡ ビジョンが明確になると、経営にエネルギーが戻り始める。

 

6. 「覚悟」を問う最後の問いかけ
すべての働きかけをしても、変わらない経営者もいます。
そのときは、「続けるか、やめるか」という人生の岐路として、経営を再定義させる必要があります。

事業を続けることが、自身と家族、従業員にとって幸せか?

続けるなら、何を捨て、何を守る覚悟があるのか?

「経営者として生きる」ということの意味を再認識させる

➡ 逃げ道を断ち、自らの人生をかけて「本気でやるか」を問う局面が必要になることもある。

 

 

最後に
赤字企業の再生において、最も重要なのは「数字」ではなく、「経営者の意識改革」です。
その改革は、強制や叱責では起こりません。

事実を直視させ、心に火を灯し、伴走することで初めて本気になるきっかけが生まれるのです。

“再生”は技術でなく、覚悟と変化の連続。

その第一歩は、経営者が「もう一度、本気で経営と向き合う」と決意することにあります。

2025.01.20

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言い訳して逃げたい、自分を守りたい気持ちとの葛藤

こんにちは。ビジネスアナリストの社内です。

 

先日、経営改善を支援させていただいている事業者様の元に伺いました。

こちらの事業者様は主な事業から全く無関連な分野へと事業を多角化した結果、資金繰りが苦しくなってしまいました。

「なぜこのような事態になったのか」とご一緒に要因分析を進めていたところ、

事業者様は

「〇〇さんの収益管理がずさんだった。」、

「物価高騰、賃上げが苦しい。」、

「銀行員が融資してくれると言っていたのに手のひらを返された。」、

「補助金に採択される算段で△△事業を始めたら、不採択になって全額自社負担になってしまった。」

というようにお話しされていました。

 

しかし、本当はこうではないでしょうか。

「〇〇さんが収益管理をできるように教育できていなかった自分のせい。」、

「物価高騰、賃上げに対し、値上げ交渉や売上拡大を図ってこなかったせい。」、

「銀行員の話や補助金等確証のないものを頼りに、本業の業績を改善することから目を背けていたせい。」など、

すべては自分の失敗であったとご本人もきっと分かっておられると思います。

 

今こんなにも困窮してしまっている現実を他の人や外部環境のせいにしなければ、精神状態を保てないかもしれません。

しかし、現実を見なければ時間だけが過ぎて事態は悪化していきます。

 

1つ前のコラムでも「自責思考」が話題になっていますが、

私は今回、自分の失敗を認めることには、大きな勇気が必要であるけれども会社を立て直すために必要不可欠なことだと学びました。

これまでの自分の失敗を認めることができて初めて、学びを得て、これからの経営に活かすことができると思います。

 

ビジネスアナリスト 社内 愛里

2025.01.14

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ポストが赤いのも全て社長の責任

こんにちは。中小企業診断士の谷です。

 

何か思うようにいかないとき、つい「環境のせい」「他人のせい」にしてしまうことはありませんか?

 

私の周りにも、学生時代、資格受験時代、社会人になってからでも、言い訳、周りの愚痴ばかり言って、
結局、本人の望んでいる状態になれず苦しんでいる人は多いと思います。

 

たしかに、うまくいかないとき、「他責」にしたくなる気持ちはものすごく分かります。しかし、それを嘆いているだけでは、状況は決して改善しません。他人や、環境を変えることはできないからです。自分が変えることができのは「自分だけ」だと思います。

常に「自責思考」でいるのは難しくても、やはり、うまくいかないときは、一度立ち止まって、
「他責思考→自責思考」に切り替える時間を取る必要があると思います。

 

会社経営でも同じように、外部環境や従業員の問題が影響し、経営状態が悪化することはあります。
そんな経営がうまくいかないときこそ「自責思考」に切り替える時間が必要です。

 

一倉定氏が示す「経営者の責任感」

伝説の経営コンサルタントと称される一倉定氏は、「ポストが赤いのも全て社長の責任」と語りました。この言葉は一見極端に聞こえますが、経営者があらゆる出来事を「自分ごと」として捉える姿勢の重要性を教えてくれます。

この考え方は、経営者としての成長だけでなく、経営改善を成功に導くための大切な姿勢です。

 

思考を変えて、行動を変える

中小企業の経営者として、従業員のモチベーション低下、営業成績の停滞、取引先との関係悪化など、多くの課題に直面することがあるでしょう。しかし、それらを「従業員のせい」「環境のせい」と片付けてしまうだけでは、状況は変わりません。

例えば、「営業成績が上がらない」と嘆くのではなく、「営業体制や指導方法に問題がなかったか?」と、起きている状況を「自責思考」で捉えなおし、考え直すことが大切です。このように考えることで、具体的な改善策を見いだすことが可能になるからです。

 

経営改善における「自責思考」

経営改善では、苦境の原因を「窮境要因」として分析します。この要因は以下の2つに分類されます:

  • 内部要因(会社内部の問題)
  • 外部要因(市場の変化や景気など会社外部の環境)

多くの場合、外部要因に対しては「どうしようもない」と諦めがちです。しかし、自責思考を持つ経営者は、「市場の変化への対応が遅れた」「景気動向を見越した計画が不十分だった」と捉え直します。このように、外部要因さえも自らの責任として考え直すことで、主体的に解決策を見出す力が生まれます。

 

経営改善の第一歩

自責思考を持つことは、決して簡単ではありません。しかし、問題を他人や環境のせいにせず、自ら行動の主体となる姿勢は、経営者としての成長を加速させる重要な鍵です。

中小企業の経営者の皆様へお伝えしたいのは、「すべてを自分の責任として捉えることで、初めて経営改善への第一歩が踏み出せる」ということです。

経営が悪化した今こそ、「自責思考」に切り替え、自らの行動を変えることで、復活の糸口が見えてくると思います。

 

中小企業診断士 谷 七音