中小企業は課題を絞り、突破口をつくるべき理由

皆さん、こんにちは。
フラッグシップ代表、中小企業診断士の長尾です。
このゴールデンウイーク明けから経営改善(赤字会社の支援)の仕事が多く、私の案件の95%くらい占めていたかとおもいます。
支援したすべての会社で「赤字体質」「過剰債務」「債務超過」「売上の減少が止まらない」「利益率が低い」「資金繰りが厳しい」の状態です。
他にも人材育成や人材不足など決算書では分からない問題もあるでしょう。
どの問題も複雑に絡み合っており、まさに何から手を付けていいか分からない状況です。
しかし、このようなお悩みを持っていることは中小企業では珍しくありません。
むしろ、経営資源の限られた中小企業ではごく自然な現象です。
開き直るわけではありませんが大企業と比べて使えるリソースが圧倒的に少ないなかで、すべての課題に一斉に取り組もうとすること自体が無理なのです。
だからこそ、中小企業経営においては「課題を絞り、一点集中で取り組む」ことが極めて重要です。
ポイントは、「その課題を解決すれば、他の多くの課題も一緒に解決される」ような、いわば“てこの原理”が働くレバレッジの高いテーマを選ぶことです。
例えば、
「新規開拓」に集中すると、売上増加はもちろん、営業力の底上げ、社内の活性化にもつながります。
「採用力強化」に注力すれば、人手不足解消だけでなく、組織風土の刷新、サービス品質の安定化にも寄与します。
このように、「一石二鳥」あわよくば「一石三鳥」が狙えるテーマに集中することが、限られた経営資源を最大限に活かす鍵になります。
また、集中して取り組むためには、経営者自身が迷わないことも重要です。
課題は次々と湧いてきます。
そのたびに方向性を変えていては、組織も疲弊します。
「我々は、今は〇〇に集中する」と社内外に明言し、その旗を振り続ける姿勢が問われます。
そして集中の期間を区切り、3ヶ月、6ヶ月と時間を決めてやり切ることで、組織に成果と達成感を残すことができます。
中小企業にとって、経営は「やらないことを決める勇気」と「今、取り組むべきことを徹底する集中力」の両立です。
課題が山積みだからこそ、優先順位を見極め、“多くの成果につながる一手”に全力を注ぐべきです。
「集中すれば、道は開ける」
このシンプルな原理こそ、資源が限られる中小企業が生き抜き、成長するための鉄則なのです。
それでは、また次回です。