2025.07.23

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赤字から黒字へ!固定費削減と売上アップで会社を立て直す戦略

皆さん、こんにちは。フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。

今回は固定費削減から売上アップへのシフトについてご説明させていただきたいと思います。

会社の経営において、赤字からの脱却は喫緊の課題です。

多くの経営者がまず着手するのが固定費の削減でしょう。

しかし、固定費削減は確かに有効な手段ではあるものの、それだけでは黒字化には限界があります。

真の経営改善、そして持続的な成長のためには、売上アップへの積極的な取り組みが不可欠です。

 

固定費削減の有効性と限界

固定費とは、売上高の増減にかかわらず発生する費用のことです。

例えば、人件費、地代家賃、減価償却費などがこれにあたります。これらの費用を見直し、削減することは、利益率の改善に直結します。

不要なオフィススペースの縮小、業務効率化による人員配置の最適化、リース料金の見直しなど、様々な角度から固定費削減に取り組むことができます。

しかし、固定費削減には明確な限界があります。

なぜなら、会社を運営するために必要最低限の固定費は必ず存在するからです。

例えば、従業員をゼロにするわけにはいきませんし、事業を行うための拠点も必要です。

固定費を削減しすぎると、サービスの質が低下したり、事業活動そのものが立ち行かなくなったりするリスクもあります。

つまり、固定費削減はあくまで一時的な、あるいは部分的な改善策であり、これだけで永続的な黒字経営を築くことは難しいのです。

 

売上アップこそが永続的な黒字化の鍵

固定費削減の限界が見えてきたら、次に目を向けるべきは売上アップです。売上を増やすことは、会社の成長と発展に直結する最も重要な要素と言えるでしょう。単に赤字を解消するだけでなく、将来の投資や事業拡大のための原資を生み出すためにも、売上アップへの戦略的なアプローチが不可欠です。

売上アップと一口に言っても、その方法は多岐にわたります。ここでは、具体的な売上アップ施策について幅広く検討していきます。

 

1. 値上げ交渉・単価アップ

「値上げ」と聞くと、顧客離れを心配する経営者もいるかもしれません。しかし、適切な値上げは収益改善に非常に効果的です。自社の製品やサービスの価値を明確に伝え、顧客に納得してもらえるような値上げ交渉を行うことが重要です。例えば、提供するサービス内容の拡充、品質の向上、サポート体制の強化などを通じて、顧客が感じる価値を高めることで、単価アップを図ることができます。また、既存のサービスにオプションを追加したり、上位プランを設定したりすることで、平均単価アップを狙うことも可能です。

 

2. 既存顧客の深耕(クロスセル・アップセル)

新規顧客の獲得には多大なコストと労力がかかります。それに対し、すでに取引のある既存顧客からの売上を伸ばすことは、効率的な売上アップに繋がります。

  • クロスセル: 顧客が購入した製品やサービスに関連する別の製品やサービスを提案することです。例えば、プリンターを購入した顧客にインクや用紙を勧める、といったケースが該当します。顧客のニーズを的確に把握し、関連商品を提案することで、客単価を向上させることができます。

  • アップセル: 顧客が現在利用している製品やサービスよりも、上位の製品やサービスへの移行を促すことです。例えば、ベーシックプランの利用者にプレミアムプランを提案する、といったケースです。上位プランのメリットや付加価値を明確に伝え、顧客にとってより良い選択肢であることをアピールすることで、顧客単価の向上を図ります。

既存顧客との良好な関係を維持し、信頼関係を深めることで、リピート購入や長期的な取引に繋がり、安定した売上を確保できます。

 

3. 新規開拓営業

新たな市場や顧客層にアプローチする新規開拓営業は、事業規模を拡大するために不可欠です。これまで接点のなかった企業や個人に対し、自社の製品やサービスの魅力を積極的に発信し、顧客になってもらうための活動です。

ターゲット顧客の明確化、効果的なマーケティング戦略の立案、営業担当者の育成などが成功の鍵となります。

オンライン・オフライン問わず、多様なチャネルを活用し、見込み顧客の獲得から商談、契約へと繋げる一連のプロセスを強化していく必要があります。

 

4. 新商品・新サービス開発

市場の変化や顧客ニーズの多様化に対応するためには、常に新商品や新サービスの開発に力を入れることも重要です。

既存の製品やサービスの改善に加えて、全く新しい価値を提供する製品やサービスを生み出すことで、新たな市場を開拓し、大きな売上アップに繋がる可能性があります。

市場調査を綿密に行い、顧客が抱える課題を解決できるような革新的なアイデアを具現化することが求められます。

 

まとめ

赤字からの脱却、そして持続可能な黒字経営を実現するためには、固定費の削減と売上アップの両輪で取り組むことが不可欠です。

固定費削減は短期的な効果をもたらしますが、その効果には限界があります。

一方で、値上げ交渉、既存顧客の深耕、新規開拓営業、新商品開発といった多角的な売上アップ施策は、会社の成長と発展を長期的に支える基盤となります。

自社の状況を正確に把握し、どのようなバランスでこれらの施策を実行していくべきか、戦略的に検討していくことが、赤字脱却への最も確実な道と言えるでしょう。

2025.01.14

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ポストが赤いのも全て社長の責任

こんにちは。中小企業診断士の谷です。

 

何か思うようにいかないとき、つい「環境のせい」「他人のせい」にしてしまうことはありませんか?

 

私の周りにも、学生時代、資格受験時代、社会人になってからでも、言い訳、周りの愚痴ばかり言って、
結局、本人の望んでいる状態になれず苦しんでいる人は多いと思います。

 

たしかに、うまくいかないとき、「他責」にしたくなる気持ちはものすごく分かります。しかし、それを嘆いているだけでは、状況は決して改善しません。他人や、環境を変えることはできないからです。自分が変えることができのは「自分だけ」だと思います。

常に「自責思考」でいるのは難しくても、やはり、うまくいかないときは、一度立ち止まって、
「他責思考→自責思考」に切り替える時間を取る必要があると思います。

 

会社経営でも同じように、外部環境や従業員の問題が影響し、経営状態が悪化することはあります。
そんな経営がうまくいかないときこそ「自責思考」に切り替える時間が必要です。

 

一倉定氏が示す「経営者の責任感」

伝説の経営コンサルタントと称される一倉定氏は、「ポストが赤いのも全て社長の責任」と語りました。この言葉は一見極端に聞こえますが、経営者があらゆる出来事を「自分ごと」として捉える姿勢の重要性を教えてくれます。

この考え方は、経営者としての成長だけでなく、経営改善を成功に導くための大切な姿勢です。

 

思考を変えて、行動を変える

中小企業の経営者として、従業員のモチベーション低下、営業成績の停滞、取引先との関係悪化など、多くの課題に直面することがあるでしょう。しかし、それらを「従業員のせい」「環境のせい」と片付けてしまうだけでは、状況は変わりません。

例えば、「営業成績が上がらない」と嘆くのではなく、「営業体制や指導方法に問題がなかったか?」と、起きている状況を「自責思考」で捉えなおし、考え直すことが大切です。このように考えることで、具体的な改善策を見いだすことが可能になるからです。

 

経営改善における「自責思考」

経営改善では、苦境の原因を「窮境要因」として分析します。この要因は以下の2つに分類されます:

  • 内部要因(会社内部の問題)
  • 外部要因(市場の変化や景気など会社外部の環境)

多くの場合、外部要因に対しては「どうしようもない」と諦めがちです。しかし、自責思考を持つ経営者は、「市場の変化への対応が遅れた」「景気動向を見越した計画が不十分だった」と捉え直します。このように、外部要因さえも自らの責任として考え直すことで、主体的に解決策を見出す力が生まれます。

 

経営改善の第一歩

自責思考を持つことは、決して簡単ではありません。しかし、問題を他人や環境のせいにせず、自ら行動の主体となる姿勢は、経営者としての成長を加速させる重要な鍵です。

中小企業の経営者の皆様へお伝えしたいのは、「すべてを自分の責任として捉えることで、初めて経営改善への第一歩が踏み出せる」ということです。

経営が悪化した今こそ、「自責思考」に切り替え、自らの行動を変えることで、復活の糸口が見えてくると思います。

 

中小企業診断士 谷 七音

2024.08.28

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苦渋の決断を先延ばしにした経営者の末路

こんにちは、中小企業診断士の木戸です。

 

経営改善計画を策定し、金融機関からのリスケ等の金融支援を受けてながら、経営改善に取り組んでいても残念ながら再生できずに倒産にいたることがあります。

 

弊社にご相談いただいたタイミングでの経営の毀損状態は様々で、今月末の支払ができず打てる手が限られるケースもあれば、まだリスケ前であり複数の選択肢を持ったうえで改善に取り組めるケースもあります。

 

後者であれば、リスケによって資金繰りを改善し、『固定費削減→利益率改善→売上高増加』のステップに沿って経営改善に取り組むことをベースに考えるべきです。

 

前者の場合でも基本的なステップは同じなのですが、とにかく1、2か月の資金繰りを確保しなければなりません。

 

返済を止める、納税を遅らせる、仕入の支払を待ってもらう、代金回収を早めるなどで対応できることもありますが、この段階で資金がショートしてしまうことが実際のところあります。

 

何とか資金を確保して乗り越えた先で問題が発生します。

 

それは、経営者が今までのやり方、考え方、仕事の進め方、組織体制、営業拠点などを変えることができず、結果として直ぐに資金が枯渇してしまうことです。

 

経営改善が必要になる背景には、経営者の判断ミス、戦略の誤りなど経営者に起因する原因があるものです。

 

赤字になってしまったやり方、考え方を改めない限りは、黒字化し、経営改善を進めることは厳しいです。

 

コンサルタントとしてクライアントが倒産することを回避し、少しでも早く再生してほしいとの思いから、厳しい言い方や言いたくないようなことなども経営者に伝えます。

 

しかし、最終的な意思決定をするのは経営者ですし、伝えるべきことは伝えた上での意思決定なのであればその意見を尊重して経営改善に取り組みます。

 

人に言われたからやっているからでは力は入らないでしょうし、何より自分で決めたことに責任を持って取り組むことに意味があると思います。

 

一方で、倒産に至った経営者から、「あの時、木戸さんが言ったようにしていたら良かった。」との話がありました。

 

この案件については、他の経費削減や収益改善、売上アップに取り組んでも赤字幅が大きすぎるため、他の策を検討し続けた上で、どうしても人件費の削減が必要であると提言していました。

 

何度も資金繰りや損益を確認しながら話し合った結果、現体制で継続するとの意思決定でした。

 

結果的に倒産に至った案件の話ですので、苦渋の決断を先延ばしにしたことの結果論ではありますが、意思決定した内容には強い気持ちでコミットしなければなりません。

 

コンサルタントとして、提言内容や経営改善の方向性などがクライアント企業と合わないのであれば、他者にアドバイスを求めていただいて構わないと考えています。

 

その内容がいいと思ったのであれば、それを採用したらいいのです。決めることが経営者の仕事です。

 

特に再生局面では、重たい意思決定に迫られることが多々あります。

 

納得いかないこと、理解が不十分なことがあれば、とことん考えて、相談して、経営の改善に向き合いましょう。

 

中小企業診断士 木戸貴也

2024.07.24

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赤字体質に悩む経営者の特徴と効果的な処方箋

皆さん、こんにちは。

フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。

6月、7月、8月とバンクミーティングとセミナー講師が続いており、その準備や対応に追われております。

バンクミーティングのほとんどは元本返済の猶予や返済方法についての協議で、対象となっている企業の財務状態は正直厳しいです。

直接的な窮境原因は様々ですが、驚くことに会社が傾いた背景や経営者の癖、行動特性は共通しています。

 

私は、20年にわたってこの仕事をしていますので、経営者の特徴や行動特性についての重要性は理解しており、経営顧問や経営改善の現場で実践的な指導を行っています。

 

今回は、傾いた会社の共通項をお伝えしますので、1つでも当てはまるようなことがあれば反省し、反面教師として今後に生かしていただければと思います。

 

1.経営者が経営の勉強をしない
 まず、経営者が経営の勉強をしないということです。経営とは「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の配分を繰り返して成果を上げていくことだと定義できますが、その範囲は多岐にわたり、複雑ですので勉強が欠かせません。しかし、赤字の経営者のほどは飲み歩く、贅沢をする、従業員を安く雇う、賞与を出さず、税金も納めずという特徴があります。そのスタンスで経営すると、拡大成長ができないまま、借入に依存した経営になります。勉強をしないことのダメージは想像を絶するほど大きいのですが、残念ながらそれすらも気づいていないのがほとんどです。

 

2.金融機関から限界まで借りて、融資を断られてから事態の重さに気づく
 赤字で資金が不足した時、収益性の改善には全く取り組まない一方で、融資を申し込む動きは迅速かつ積極的に行います。損益計算書に原因があるにもかかわらず、「融資を申し込んで資金を補填して終わり」というのが赤字の会社の経営戦略です。収益改善は非常に時間もかかり労力も要しますので、金融機関からお金を借りるという楽な道に逃げます。
そして、いよいよ借りることができなくなってから、初めて「事の重大さ」に気づきますが、楽な道しか経験していませんので、私が指導する内容に取り組む精神力や耐性が全くありません。

 

3.顧問税理士や外部環境に原因を求める他責思考
 「自分のやり方が間違っていた。これからはしっかり勉強して立て直す」という経営者はほとんどいません。
「税理士が何も教えてくれない」「コロナが・・・」など、とにかく言い訳が多いです。経営者は全ての責任を負っており、言い訳が許されないということを知りません。時々、小学生と話をしているのかと思う時もあります。他責思考から自責思考への変換ができれば、すべてが上手く行くのですが・・・。プライドが邪魔をしているのか、本当に自分に責任がないと思っているのか分かりませんが、こういう経営者を支援するのは本当に大変ですし、私以上に従業員が大変でかわいそうと思ってしまいます。

4.試算表がない
 赤字の会社には試算表がありません。数字を見ずに経営しています。数字を見ずに経営をするということは、前を見ずに車を運転するようなもの、計器がない飛行機を飛ばすようなものです。よほど自分に自信があるのか、それとも何も考えていないのかは分かりませんが、多くの場合その両方のように思えます。そして「試算表を作成しましょう」と決定しても試算表が出てくることはありません。

 

5.創業以来ほとんど利益がない
 「コロナでおかしくなった」という会社の決算書を10年前から見ると、コロナ前から赤字であることが分かります。結局、1回もまともな利益を計上したことがなく、融資を受けるためにテクニックでちょっと黒字にした経験があるだけで、慢性的な赤字体質であるケースがほとんどです。

 

 

これら5つの特徴は弊社に支援を求めるほぼ全ての会社で複数個当てはまります。

 

私からこうした事態に陥らずに強い会社を作る、非常に簡単で効果的な処方箋がありますので、それをご紹介しましょう。

まずは「会社を良くしたい」「資金繰りに苦しみたくない」と強く願うことです。

 

そして、いますぐに「経営の勉強をする」ことです。

 

毎日朝早く出社し、お客様や社員をよく観察し、自社の製品やサービスについて疑うことから始めましょう。

 

劇的な変化は日々の何気ない積み上げから発生するものです。

 

それでは、また次回です。

 

2024.07.11

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経営改善サポート保証(感染症対応型)が延長されました

こんにちは、中小企業診断士の杉本です。

 

先日の木戸の投稿にもあったように、コロナ禍における民間金融機関の中小企業向け資金繰り支援は段階的に終了し、新型コロナセーフティネット保証4号や伴走支援特別保証(コロナ借換保証)はこの6月末をもって終了しました。

 

ただし、経営改善サポート保証(感染症対応型)は12月末まで半年間延長されております。

 

経営サポート保証制度(感染症対策型)は、従来の経営改善サポート保証制度の据え置き期間を最大5年間に緩和した上で、保証料の企業負担を大幅に引き下げるものとして2021年4月から開始されました。

 

 

この制度は、感染症の影響を受けた中小企業が経営改善計画を策定し、その取り組み後押しするための制度です。経営改善計画については、信用保証協会による経営サポート会議や中小企業活性化協議会等の支援による経営改善計画のほか、認定支援機関が経営改善計画策定支援事業によって策定した計画についても、全債権者の同意を得ることが出来れば対象とすることが出来ます。

 

コロナ関連の資金繰り支援は経営改善サポート保証(感染症対応型)に一本化された形となり、企業の今後の資金調達の際には経営改善計画の策定が必要となってくるでしょう。

 

弊社では関西をはじめとして、全国の事業者様の経営改善計画の策定支援を行っております。

無料経営相談も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

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中小企業診断士 杉本貴弘