経営改善計画における損益計画の考え方
こんにちは中小企業診断士の谷です。
今回は経営改善計画における損益計画の考え方について解説します。
経営改善計画とは?
- 金融機関から金融支援を取り付ける
- 自社の事業が改善する可能性を社外に示す
- 事業の継続と金融取引の正常化を実現する
よくあるNG例:返済額から逆算するバラ色の計画
経営者が陥りがちな間違いの一つに、「返済額から逆算して売上高を設定し、バラ色の計画を作成する」ことがあります。これは銀行との交渉において見栄えは良いかもしれませんが、実際の経営改善にはつながりません。合意が取れても、経営状況が改善しなければ問題を先送りすることになり、最悪の場合、倒産に至る可能性もあります。
現実的な損益計画の重要性
もちろん、返済額を基にある程度の利益目標を設定することは大切です。しかし、これを絶対的な基準にするのではなく、現実的な損益計画を作成する必要があります。返済に必要な利益を確保しながら、銀行とも現実的なラインで交渉していくためには、慎重な計画作成が求められます。
銀行員が見るポイント:実現可能な計画かどうか
銀行が経営改善計画を評価する際、特に注目するのは次の3点です。
1.売上計画は実現性が高いか?
売上が確実に見込める計画かどうかは、非常に重要です。過去の売上推移や受注見込みをもとに、現実的な売上目標を立てる必要があります。
売上計画は、「①成り行き」と「②α(努力)」に分けて考えると良いでしょう。
①成り行き:過去の売上傾向や窮境要因が取り除かれた場合の売上、または受注見込みの案件など、自然な推移に基づいた売上を予測します。
②α(努力):内部要因(新商品の投入、営業強化、値上げなど)や外部要因(市場の拡大、競合の減少など)を考慮し、追加の努力によって達成可能な売上を上乗せします。ここで、数字や具体的な根拠を明確にすることが重要です。
2.コストは最適化されているか?
コスト削減の余地があるか、固定費や変動費の見直しが行われているかも、銀行が注目するポイントです。
コスト計画を見直す際、まずは「成り行き売上」を基に損益分岐点を計算し、固定費の削減を検討します。固定費の削減が難しい場合には、変動費(原価率)の見直しや売上の向上による対策も併せて検討します。
3.利益を確保できるか?
結果として、利益がしっかり確保できているかどうか。銀行が納得できる返済能力を示すためには、具体的な利益の見通しが必要です。
まとめ
損益計画は、ただの数字の羅列ではなく、企業の現実に即した「実現可能な計画」でなければなりません。バラ色の売上目標を掲げても、現実の経営改善には結びつきません。外部コンサルタントとともに、現実的な計画を立てることで、銀行との交渉もスムーズに進みやすくなります。
我々が計画作成のご支援をさせて頂くときはこのような考えかたで、数値計画、アクションプラン(行動計画)を作成していきます。同じ目線、捉え方をもって経営改善に取り組めたらと思います。
中小企業診断士 谷 七音