2023.07.13

  • 事業再生
  • 経営改善

声のトーンで経営者の心理状況を感じる

こんにちは、中小企業診断士の木戸です。

東京商工リサーチの調査によると2023年1月から6月までの倒産件数は4042件であり、コロナ禍での資金繰り支援によって減少していた倒産件数が大幅に上向き傾向にシフトしました。

昨年から倒産件数は増加基調となっていたのですが、今年の上期で大幅に増加する結果となっています。

弊社へご相談に来られる企業様も資金繰りが深刻な企業が多く、早急にリスケを金融機関へ相談するケースが続いています。

背景には新型コロナ禍での減収・減益や昨年からの原油価格・物価高騰、人手不足・人件費上昇などが考えられますが、コロナ禍での3年超にどのような経営をしてきたのか、と疑問を持つケースも少なくありません。

既存事業の売上が減少し、赤字となり、資金繰りが窮屈な状態に手を打たないまま、新事業へ投資したり、新事業をウルトラCとして改善に取り組んだりと再生に取り組む中小・零細企業の戦略としては体力的にキツイ判断をしています。

その瞬間は、隣の芝が青く見え、新事業に飛びつきたくなる気持ちはわかりますが、まずは既存事業を何としてでも立て直すことに全力で取り組むべきです。

拠点や体制の見直しによる大幅な固定費の削減、今までは当たり前にやっていた販売戦略の見直しなど、何としても既存事業の収支を黒字化していかなければなりません。

厳しい言い方かもしれませんが、既存事業を立て直せない人が新事業をやっても収益化できるとは思えません。

とはいえ、始めてしまったものは仕方ありませんので、今後の方針を経営者と一緒に考えていくと、少し不安が解消されたのか、声のトーンが明るくなることが多いです。

弊社に相談しただけでは何も変わらないのですが、誰かに相談し、方向性や改善策が見えてくるだけでも資金繰りの悩みが小さくなれば、夜もしっかりと寝れ、事業に集中してもらえるのではないかと考えています。

現在の経済状況を考えるとほっておいて事業が良くなることは考えにくいですので、ポストコロナを見据えて、経営改善に取り組んでいきましょう。

中小企業診断士 木戸貴也