2024.11.12

  • 経営者の姿勢
  • 資金繰り

会社のお金の流れを漠然としか把握できていない経営者

こんにちは、中小企業診断士の谷です。

 

 資金繰りに窮した会社の経営者の方々と対話すると、多くの経営者が自分の会社のお金の流れを正確に把握できていないことに強いストレスを感じています。

 お金の管理を全くしていない場合や、頭の中のみで「どんぶり勘定」に頼っている場合に、資金の流れを把握できないのは理解できますが、中には、毎月エクセルで売上やコスト、支払いを集計しているにもかかわらず、現預金が減り続け、資金繰りが苦しい状況に陥る経営者もいます。

 

「なぜこうなっているのか理解できない」ストレスと、適切な対処法がわからない不安は非常に苦しいと思います。

 

 このような状況の原因には、利益とキャッシュフローの違いや、損益と収支の関係を理解していないことや、適切な管理表の使い方を知らないこと、そもそもの会計の基礎知識が不足していることなどが考えられます。

 

 そんな経営者様との会話の中で、よく耳にするのが「お金の話をすると頭が痛くなる」「昔から数字が苦手で、面倒に感じる」「忙しすぎてお金の管理に割く時間がない」といったセリフです。

 

「お金の話になると頭が痛くなる」

 資金のことを考えるたびにストレスが積もり、頭が痛くなるのも無理はありません。
 しかし、問題をそのままにしていては状況が悪化する一方です。お金の話から目をそむけ続けることで、かえって頭が痛くなる悪循環に陥っていると思います。

 

「昔から数字が苦手で、面倒に感じる」

 実は資金管理には、複雑な数式はまったく不要です。
 設備投資の有効性など、複雑な計算は専門家に任せてしまえば良いのです。

 

「忙しすぎてお金の管理をする時間がない」

 これは確かにその通りだと思います。
 多くの中小企業経営者は現場の実務もこなしつつ、経営も行っているため、資金繰りやお金の管理に十分な時間を割くのが難しいのが現状です。

 しかし、話を詳しく聞くと、管理職がすべき業務や、掃除など他の人に任せられる業務も兼務しているケースが少なくありません。
 組織のトップが現場に関わり、従業員の信頼や士気を高めることは重要ですが、資金繰りの管理は経営者にしかできない優先度の高い仕事です。特に資金繰りが厳しい状況下では、資金管理を最優先に取り組むべきだと思います。

 

 とはいっても、業績が悪化してから独学で資金管理を学び直す時間も余裕もありませんし、焦って無計画な資金調達に走ることも得策ではありません。

 

 コンサルタント費用を「もったいない」と考える経営者もいらっしゃいますが、手探りでお金の知識を一から身につけたり、経営管理のすべてを一人で抱え込むのは、非効率ですし、経営状況が悪い中、それらを行うのは非現実的です。経営に専念する時間とその効果を考えると、費用対効果が高いと思います。ご自身の時間コストと比較してみてください。

 

中小企業診断士 谷 七音