中小企業の経営改善・事業再生 その2
こんにちは、中小企業診断士の木戸です。前回の中小企業の経営改善・事業再生その1に続いて、3回シリーズの2回目です。
2.経営改善のステップ
経営改善・事業再生は、収益性の改善、金融機関へのリスケジュールの申込、資金繰りの改善などを行うのですが、これには明確な手順があります。
経営を改善するには、固定費の削減、利益率の改善、売上高の増加の3つが必要であり、この順番を守ることが重要です。
固定費が高く、収益性が低い赤字体質の状態で売上高の増加を急ぐと赤字幅が拡大し、資金繰りも更に悪化するケースは少なくありません。
まずは、固定費(役員報酬、家賃など定期契約、広告宣伝費、交通費、交際費、雑費など)や利益率(=粗利益率。仕入や外注費など)の見直しや改善を行い、ぜい肉をそぎ落とし、筋肉質となった状態で売上高の増加を目指します。
借入金の返済は固定費ではないのですが、毎月の支出を見直す必要がある場合には、金融機関に対して、元金返済猶予などのリスケジュールを依頼します。
必ずしも「経営改善・事業再生=リスケジュール」ではないのです。
返済を猶予しても先延ばしをしているだけですので、いずれ返さなければなりません。
しかし、経営改善は、固定費削減のように直ぐに効果が出るものもあれば、利益率改善や売上高増加など取り組んでから結果が出るまでに相当期間を要するものもあります。
固定費削減は一時的な改善であり、中長期的には利益率改善や売上高増加が不可欠です。
そのため、経営改善・事業再生を進めるためには、定期的なモニタリングと見直し、軌道修正が必要です。
計画通りに進んでいない原因や資金繰りの変化、取引状況などをリアルタイムで確認することで、経営改善・事業再生を進めていきます。
次回では、経営改善の具体的な事例を2案件ご紹介したいと思います。